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Watanabe side
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渡辺「今でも不仲なんて言われるし、Aは悪くねぇのにな」
『……別に、翔太くん、だって、悪く、ない、よ？』
「でも一方的に嫉妬してた。ほんと最低だよな」
『………でも、あの時の、翔太くん、結構好きだった』
「…は？どういうこと？」
『……なんか、ギラギラした、目、してたよ』
「ハハッ！！もういいわ思い出すと恥ずかしいし」
『………だからさ、時々、翔太くんが、その時みたいな目、してると、懐かしいの』
「分かったからもう横になって休めって。熱中症になるぞ？飲み物取ってくるから、手、離して」
『冷蔵庫の一番上に、ポカリが、』
「分かってる。俺だってAの家結構来てるんだよ」
『……嫉妬だね』
ポヤポヤとしたことばかりを言うAは放置して今度こそ部屋を離れた。
いつの間にか彼を引き上げた時にびしょ濡れになったのは乾いてしまっている。
適当に飲み物を数本と、うたの部屋からは部屋着を拝借した。
「風呂入ってくるから。部屋着と化粧品も借りるよ？」
『泊まる？』
「嫌なの？」
『全然』
「ポカリ、最低1本は飲み切ってよ」
『あーい』
結局、彼のことが心配でシャワーだけで済ませてしまった。
部屋に行けば空のペットボトルが枕元に置かれている。
『………早い、ですね』
「時々しかタメ口で喋ってくれない癖なんとかならない？」
『ならなーい』
「寝るか。聞くのが心苦しいけど締切いいの？」
『いい曲思い付いたから全然大丈夫。明日形にすれば間に合うかなって感じ』
「明日だって撮影あるよな？」
『日中は歌舞伎の撮影、夜中は外でドラマの撮影』
「…忙しいな」
『でも、いい曲が思いついたからどんなに時間が無くても大丈夫。
それにね、この曲、翔太くんに歌って欲しいんです』
「………本気？」
『この曲は翔太くんしか歌って欲しくない。から、お願いできますか？』
「……あのさ、」
『あぁ！！待ってヤダ！断らないで！悲しい！！』
「この流れで断るバカがいるかよ」
『……っ、！』
「あと、結構嬉しい」
風呂上りでまだ湿っている頭をクシャリと撫でれば満足したように目を閉じてしまった。
そして少し経てば可愛い寝息が聞こえてきた。
子供みたいな体温の隣で、俺も静かに眠りに落ちた。
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作者名：Radu | 作成日時：2021年8月9日 22時
