10人目の居場所は、ここに。ー４ー (ページ40)

今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:95,354 hit

・ページ40

Fukazawa side

・

画面の向こうで、"彼" は確かに生きていた。

そして、"彼" は終わりの時を迎えた。

仕事からの帰り道、車が混んでいてドラマの時間に間に合わなかった。

間に合うだろうって思ってたからこそ、残念でうたに電話をしたら俺の憂鬱なんかを他所に楽しそうな声をしていた。

『えー！深澤くん間に合わないんだ』

「俺だって早く帰りたいんだよ」

『ま、後でじっくり見て下さい』

「もう既にトレンド入りしてるんでしょ？」

『でも、電波ジャックとか番宣色々あったからだと思うよ』

「今、なに考えてんの？」

『え？なんで、どうしたの？突然そんなこと』

「なんか、いつもより声が明るいなって思ったから」

『そんないつも暗くないし』

「そこで拗ねるなよ」

『昨日ね、おじいちゃんとおばあちゃんのお墓参りに行って来た。ドラマ新しいのやるから見てねって』

「色々話できた？」

『結構時間あったからね。1時間ぐらいいたかな』

「そっか、良かったじゃん」

『なんか、このドラマ終わってから自分の中で整理ができたって言うか、2人はもう生きてないんだなって当たり前のことだけど理解できるようになった気がする』

「俺はさ、正直うたが今までずっと俺らと一緒にいてくれたことが奇跡みたいだなーって思ってる。いつかフラーっといなくなりそうな、気がしてた」

『そうだよね、辞めたいって言ったこともあったし』

「でも、辞めないでくれて良かった。葉歌Aから俺らを知ってくれた人が1.2年前は大半だったかもしれないけどさ、今じゃ俺らだって負けてないって自信持てるようになったからさ、感謝しかないよ。これは、電話だから言える話ね」

『なにそれ！面と向かって言ってくれてもいいじゃん！』

「嫌だよ恥ずかしい」

『じゃあ僕も電話だから言える話するね。
今思うと、葵がいなかったらあの家も売り払って小さなマンションに1人で住んだだろうなって思うし、そんなことしたらもっと1人だなって感じてたかもしれないな、って。
それと同じで、ジャニーズじゃなかったら Snow Man 辞めてた。
先に俳優としてデビューして、アイドルになって、また俳優の世界に踏み入れると誰かは嫌がるんだよ。
どこの世界も誰かが入ったら誰かが消えなきゃいけない、それなのに僕は厄介だったんだよ』

「誰が何と言おうと、うたの居場所はここだけだよ」

今日だけは、渋滞から抜け出せなくてもいいや、って思えた。