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Watanabe side
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『翔太くん、お酒飲みますか?』
「お!マジ?あんの?」
『葵の買い置きのワインですけど』
「勝手に飲んで大丈夫なの?」
『僕がいない間にきっとメンバーさんが来るだろうからその時にお出ししてね、って言われてるんで』
「いい弟だよな!世間的に見てこんなにできた弟はいねぇよ」
『どこに出しても恥ずかしくない自慢の弟ですから』
「高学歴で将来有望、おまけに顔はいいし優しい。悪いとこ何もないよな」
『ちょっと天然ですけどね』
「それぐらいの方がモテるよ」
ガシャン
と何かが粉々になった音がして、アイランドキッチンの向こうに見えていたはずのうたの姿が見えなくなった。
急いで近寄れば出血した手で右足を擦りながらしゃがみ込んでいた。
「どうした?一回危ないからここ離れて、ソファ座ろ」
『……なんか、力、入らなくなった、』
「立てない?」
『……待って、ちょっと座ってたい』
「おっけ。そこ踏まないように気をつけてな」
うたを食器棚に寄りかからせて、ついでに俺も隣に座った。
なんか上半身がフラフラして危なっかしい。
手を伸ばして棚の上からティッシュを取ってうたの傷口に当てれば痛みで顔が歪められる。
「痛い?」
『……ちょっと』
「疲れてんな」
『………うん、結構』
「Aが認めるなんてよっぽどだな。足、キツイ?」
『んーなんか、全身が重いなぁって感じ。
いくら滝沢歌舞伎の映画化とはいえ、今までに色々出てるんだからいい演技が出来るだろうっていう目で見られてるのを感じて、』
「プレッシャー?」
『考えすぎかもしれないけど』
「まぁ、否定できないかも。うたのシーンの時はスクリーンの映りとか、今までに気にしてなかったようなことまで注意飛んでくるもんな」
『……期待されるのは嬉しいけど、色々仕事溜まってるんだよなぁ!』
へへっと笑う横顔は思っていたより力が抜けてて、正直ホッとした。
頭をぐしゃぐしゃと撫でれば犬みたいに喜んだ顔。
『も、治った』
「立てそう?」
『……手、貸して』
ほら、こうやってすぐ可愛い顔して甘える奴なんだよ。
クールとか大人びてるって言われるけど、俺らはこういう人だって知ってるから。
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作者名:Radu | 作成日時:2021年8月9日 22時