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Raul side
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うたくんといろんな話をした。
過去のこともこれからのことも。
知らなかったうたくんの本当の姿を垣間見れたと思う。
勿論映画のアドバイスも貰った。
うたくんと話してると自分の悩みなんてちっぽけに思えてくるし、なにより思ってることを言葉にすれば的確な答えと共感を貰えるだけで心が軽くなった。
「次のCDも楽しみだね。もうそろそろ準備が始まるってこの前聞いたんだよね」
『そっか。ラウールの映画の主題歌だもんね、気合入っちゃうなぁ』
「ガンガンに入れてよ？」
『そう、あのね、一個お願いがあるんだけど』
「うん。なんだろ」
『次のシングルからいつまでか分かんないしずっとかもしれないけど、僕とラウのダブルセンターを解消してほしいんだ。つまり、ラウールだけがセンターってこと』
「………なんで、え、どういう、こと」
『ゴメンね、早く言わなきゃって思ってたんだけど』
「……それって、もう、決定事項なの？」
『うーん、でもまぁ多分』
頭がぼーっとしてフラフラした。
目の前にいるAくんの表情は真剣そのものでこの言葉には嘘がないんだろうけど、当然受け入れられるものじゃなかった。
だってAくんの隣のセンターを堂々と担える人間になるために、今までずっと頑張ってたのに。
「………なんで、」
『まずは体とか、体調のこと、とか。今与えてもらえてる仕事を全部こなすにはとてもついていけないって。どっかで力抜かないと2.3年でこの体が使い物にならなくなるってね、言われて』
「……それで、センターの仕事を、捨てるってこと、？」
『…ごめんね、言い方が悪かった。毎日ラウールが成長して遠くへ進んで行くのに、僕はもう付いて行けないんだよね。だから、逃げたいだけ』
「嫌だ、」
『………そう、だよね。』
「全部僕を納得させるためだったんでしょ」
『……え、？』
「このお店に連れて来てくれて、色んな話をしてくれたのも、全部、僕を納得させていいよって言わせるためだったんじゃないの？」
『……ラウ、』
「その話、僕以外誰にしたの？」
『一応、深澤くんには』
「じゃあ尚更そうじゃん！！！ふっかさんに言ってもダメって言われたから、僕ならいいって思ったんでしょ！？僕なら年下だし説得できるって思ったんでしょ？」
止まらない怒り任せにまくしたてれば、うたくんは俯いて黙り込んでしまった。
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作者名：Radu | 作成日時：2021年8月9日 22時
