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Raul side









ラウ「Aくん、こんなすごいお店、僕、」


『今日は僕が誘ったんだから当然僕が払うよ。そこは心配しなくて大丈夫。他の個室だとお酒を飲んでる人もいるけど僕は絶対飲まないし、帰りは家までちゃんと送るから』


「……至れり尽くせりだね、」


『食べたいもの色々頼んでいいからね。たまには僕だって年上っぽいとこ見せたいし』


「Aくんはいつだって年上だし大人だし、追いつけない人だよ」




本心からその言葉を言ったのだけれど、Aくんは目を細めて軽く笑っただけだった。

それは僕の言ったことをお世辞だと思っている証拠。


他のみんなよりも圧倒的にAくんのことを知らないのがちょっと引け目に感じた頃にAくんのことを色々観察して知ったこと。

Aくんって呼ぶのとうたくんって呼ぶのとではどっちが喜ばれているのか分からないから、そこだけはまだ保留。




「ここ、うたくんの行きつけのお店?」


『行きつけってほど最近は来てないけどね』


「忙しいもんね」


『……おじいちゃんがね、好きだった店なんだ。あの時は葵がいなかったから僕とおばあちゃんの3人で、週末はいつもここに来てた』


「葵、くんってAくんの実の弟じゃないんだよね、」


『そ。おじいちゃんの知り合いの孫って感じ。葵のご両親が交通事故で亡くなって、引取り先が見つかるまでウチで預かるってことだったんだけど、仲良くなっちゃったからね。確かあの時、おじいちゃんとおばあちゃんに僕と葵で離れたくないって泣きついた気がする』


「Aくんが?なんか、意外かも!」


『みんなに言われたしなんで泣いたのか自分でもわかってないけどね。でもそれだけあの時の自分も勿論今の自分もだけど、葵が大切な存在だったんだろね』




今度は懐かしむような、安心したような、そんな風に目を細めた表情。

メンバーの話をするときもいつもこの顔になる。

僕にこんな優しい表情を見せてくれる回数が増える度に、加入してすぐの頃は喜んでたな。




「ねぇ、」


『ん?』


「Aくんの大切な存在の中に、僕はいる?」


『当たり前じゃん。だからこのお店に一緒に来てもらったし、もっといろんな話がしたいって思ってるよ』


「……そっか、なら良かった、嬉しい」


『そんなこと気にしてたの?』


「ちょっとだけね」

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作者名:Radu | 作成日時:2021年8月9日 22時

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