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Iwamoto side
分かってはいたけど、世間のバッシングは凄まじいものだった。
うたのジュニア歴が長くて舞台に結構出てたら違ったのか。
俺らがもっと知名度のあるグループだったらよかったのか。
うたのファンの人がもっと少なかったらよかったのか。
どれも絶対に違う。
そもそもバッシングをするアンチの人たちが悪いわけだし。
ドラマで忙しそうにしていたうたとは加入発表後もなかなか会えず、結局ジャニーズ銀座のリハ日になってしまった。
お互い連絡は取り合ってたし、俺も他の4人ぐらい仲良くなりたかったから歌舞伎期間中も結構連絡をしてたけど。
久しぶりに顔を合わせたら、人見知りを発動されちゃって。
リハが始まる前からステージで1人、無音の空間で黙々と踊るうた。
やっぱり2年経ってもそのダンスの精度も完璧さも変わってない。
けど、踊り終わるとフラフラと座り込んで口元にタオルを当てる。
辛そうに呼吸を続けるから、近寄って背中を擦った。
岩本「大丈夫？」
『……本番、あした、なのにね』
岩本「焦らなくていいよ。全曲通してたんじゃないの？いつから来てたの？」
『………たいりょく、っ、ぜんぜん、もどんなくて、』
歌舞伎期間中、ドラマの撮影がある中何度も足を運んでくれた。
公演後にくれるアドバイスは全部適格だし、今まで舞台にほぼ出たことないのによく気付いたなってことばかりだった。
それから、時間が許す限り練習し続けていたらしい。
ふっかが人伝に聞いたらしいから本人からは聞いてないけど、夜遅くまで1人で踊っていたとか。
うたは本気なんだよ。
この分かれ道に、人生賭けて進もうとしている。
それなのに、分かってくれない人がいるだなんて、あんまりだよ。
岩本「リハ、あと1時間で始まるって」
『…じゃあ、もうちょっと、』
岩本「何か体に入れておきな？ね？また痩せたじゃん」
『………なんか、重いと、アクロバット、うまく出来ないじゃないですか、』
岩本「そう？十分うたは出来てるし、痩せちゃったのってそれだけが理由じゃないでしょ？」
『……え、』
岩本「図星って顔してんじゃん。俺だってさ、いつまでもふっかとか佐久間とかに先越されたままでいたくないからさ、色々、力になりたいんだよ」
『…………なんか、泣きそう、』
岩本「泣いちゃえ」
佐久間「あ！！！照がうたのこと泣かせてる！！」
岩本「うるせぇの来たな、逃げるぞ」
『え、ちょっと！』
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作者名：Radu | 作成日時：2021年6月7日 21時
