10人目の居場所は、ここに。ー3ー (ページ47)

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Fukazawa side

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『自分のスマホにこの留守電が入っていたのに全然気が付いてなくて、昨日、聞いたばっかなんです。最初、イタズラかなって思ってたけど、この留守電が入った時間とか、よく聞けば、これが、おじいちゃんの、直前の、声だったんだなって、』

深澤「うた？ストップ。一旦落ち着いて俺の方見て？ゆっくりでいいから」

『………もう何もかも分かんなくて、全部、取り返しの付かないことをしてしまった、から。ジャニーズを、辞める』

たった30秒の留守番電話に残されていたのは、自分たちのことは心配しなくていいからちゃんと仕事を全うしてきなさい、という重い一言。

今のうたにとっては、その言葉は神の裁きみたいに鉄槌を下すもの。

胸の辺りをギュっと握っていた手は、今度は首の辺りを忙しなく動いている。

パーカーの下に見えた細い腕には、ためらい傷がいくつも増えていた。

ためらいがあるだけまだマシ。うたが生きることをまだ手放していない証拠だから。

『………もう、全部、やめたい』

深澤「うた、一旦仕事はお休みしよう。ジャニーさんとか事務所の人は俺らで説得しておくから、ね？」

『……無駄だよ、全部最初から、無駄だったんだよ、』

深澤「うた！！それ以上、言わないで」

『………これ以上、何をして生きればいいの！！！！僕は、もう、みんなと一緒には生きていけない
！！！』

突然廊下からバタバタと音が聞こえてきたかと思えば、頭を冷やしてくると言い残して部屋を出て行った佐久間が戻って来た。

少しは冷静になったのかと思えば、物凄い剣幕で眉間にシワを寄せている。

佐久間「俺はさ、うたの全部が好きなの。
好きだから嫉妬するし羨ましいっていつも思うし、うたのことを非難する人は本当に許せない。
だから自分のことを否定するうたも絶対にイヤ、嫌いなの」

『……さくま、くん、』

佐久間「うたの気持ちは分かんない、だって俺らはうたじゃないじゃん？
っていうかうたって分かるよとか安直に言われるの嫌いでしょ？
だからそんな薄っぺらいことは言わない！！
でも、うたはこれからもずっと生きててくれなきゃ」

『………生きて、ただ生きて、それにどんな価値がある？』

佐久間「知らないー！だって俺が嬉しいだけだもん。葉歌Aっていう友達が生きてるってだけで充分幸せだもんね」