10人目の居場所は、ここに。ー3ー (ページ25)

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Hauta side

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鈍い頭痛と生理的に吐き戻したいような衝動に駆られて目が覚めた。

染みの数をしょっちゅう数えていた自分の部屋の天井じゃない理由を理解するのにかなり時間がかかった。

パタパタとやって来た白衣の人たちに囲まれ、しばらくすればいなくなる。

入れ替わりで入って来たおじいちゃんに頬を叩かれた。

鋭い痛みは、泣きたくもないのに何故か涙を誘発して生温かい雫を落とした。

「………なつ、め、は、」

その一言を発するのすら億劫で吐息だけが口から溢れ出した。

聞かされた話を断片的に繋ぎ合わせれば、夏梅のお母さんが家で倒れてる俺らを発見したらしい。

彼女は別に出て行ったわけでもなく夏梅を捨てたわけでもなく、ようやく元旦那の居場所を突き止めて慰謝料なり教育費を払うように言い渡すために家を開けていただけだったそうだ。

要するに、夏梅の早とちりだったという事の顛末。

僕は5日も眠っていたらしく、先に目が覚めた彼女は既にお母さんと再会したらしい。

僕を巻き込んだことへの罪悪感なのか僕は面会を拒絶されている。

おじいちゃんは僕の頬をピシャリと叩いただけで帰ってしまった。

別に僕のことを怒ってるんじゃなくて、命を粗末にしたことを反省しろってことなんだと思う。

おばあちゃんは未だに突然意識が消失したり呼吸状態が悪くなる僕の傍にずっといてくれる。

葵は、突然病室にやって来たかと思えば号泣した。

僕が眠ったままの数日間、涙が枯れるんじゃないかってぐらい泣いていたらしい。

どこから聞きつけたのか、おばあちゃんが着替えを取りに帰っている間にやって来た阿部くんは開口一番「バカだねぇ」と言った。

「うたはバカだよ」

『……分かってる』

「分かってないんだって。大馬鹿だよ、普通に考えれば大人の家出ってもっと大規模だろうって思わない？」

『夏梅のお母さんは家出なんかじゃないし、大規模って言い方も変』

「分かってるよ。うたがバカになっちゃったみたいだから分かりやすく言ってあげてるの」

『………』

「本当に死んだら、どうするつもりだったの？うたが死んだら悲しむ人がたくさんいるってこと、忘れたの？」

阿部くんの声は震えていた。