絶望は、ここに。 ー2ー ページ18
Hauta side
2013年、高校2年生の夏
僕の誕生日初日が文化祭の1日目で、でもそんなことすら忘れるほど幸せな毎日だった。
高校1年生終わりごろからちゃんと通い始めたその高校は、芸能関係の仕事をしているような人が1人もいない普通の高校。
進学校ではないけどそこそこに勉強して入る場所だし、生徒の雰囲気もスゴクいい。
校則で縛られないと社会に適合できないような人達がいないから、緩い校則の中でみんな自由に生活している。
リハビリが全然進んでなかった頃は中学の時のイジメられてた記憶もあって教室に通えず、保健室に時々通うような生活だった。
留年も覚悟してたけどそういうところは配慮してもらえて、後期からはちゃんと教室に通えるようになった。
「ねぇ、1年前のドラマ見てたんだけど、やっぱあの女優さん可愛いよな!」
「この前のダンスの映画、ほんっとに面白かったよ!あれを見て高校からダンス始めたんだ、本当にありがとう!!」
「仕事で授業出られない時あったら、ノート見せるよ?」
初めて教室に入ったあの日、クラス中の人、なんなら他クラスも他学年も一同に押し寄せて囲まれた。
深澤くんとかから人気者は高校で囲まれるぞ!って言われてたけど、正直僕にはそんな"陽"な部分もないし、有り得ないって思ってた。
「ほら、葉歌くん困ってるから取り敢えず座らせてあげようよ」
そう言って助け船を出してくれた彼女は僕の隣の席の人だった。
1番後の窓際の席、そういう場面から恋が始まるような映画に出たことがあったから、なんかおもしろいなぁって。
気分はどこか他人事。
正直友達なんか出来ないって思ってたし、中学の頃のように鬱々とした毎日が続くんだと思ってた。
だからこそワクワクした顔で僕の周りを取り囲む人達に申し訳なくなった。
そんな明るい人でもないし、みんなに仲良くしてもらえるような人間じゃないよって。
だけど、どんなに僕が拒んでも暗そうな雰囲気を出しても、決して誰も離れて行かなかった。
「え?意外なんだけど!やっぱ俳優さんってスゴイよね!全然自分とかけ離れてても演じられるんだね」
「やっぱカメラ回ってないときはオフモードって感じ?」
「ね、ダンス部入んない?お願い!!!!」
僕への興味が失せたら誰もいなくなるんじゃないか、っていう仮説も立証されず。
みんな芸能界に入りたいから僕に媚びを売るんじゃないか、という仮説も全く合わず。
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作者名:Radu | 作成日時:2021年6月7日 21時