10人目の居場所は、ここに。ー3ー (ページ11)

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Watanabe side

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渡辺「それって、自己申告？」

「はい、警察や駅の方がいらして事情聴取で時間がかかってしまい、特に問題ないと仰ってたので。
ただ、何段か巻き込まれて葉歌さんも落ちてしまったので、万全とは言い難いかもしれません。
とにかく、急いで向かいたいとのことだったので」

阿部「……大丈夫かなぁ」

岩本「取り敢えずもう時間が無いから、うたの準備が出来次第スタンバイに入ろう」

誰も気づいてないみたいだし、思い違いかもしれないけど、この楽屋まで走ってくる足音が均等じゃなかったんだよね。

右と左のバランスが合ってないというか、踵の高い靴を履いてたしそんな気がするんだけどな。

足捻って引きずってたとか、いやでも違うかもしれないし。

なんとなく悶々とした気分のまま。

でも舞台は幕が上がってしまった。

そうなれば目の前のことに集中するしかない。

あぁ、向けられる視線がいつもと全然違うや。

葉歌Aを受け入れた裏切り者と思われてるのか、もうSnow Manに価値がないと思っているのか。

自分ですらその悪意を感じるんだから、葉歌くんに向けられるものはもっとだろう。

それにしても、徐々にキレが無くなってくるダンスが気になる。

さっきはターンでブレてたし、ライトが当たってない時は苦しそうな表情が隠せてない。

一瞬涼太と目が合ったから、考えてることは同じなのかもしれない。

幕が下がり、初日の公演が終わる。

佐久間「うたっ！！！」

段々と傾いだ体を支えたのは両脇にいた照とふっか。

熱を閉じ込めた背中が何度も上下する。

岩本「うた？どうした？取り敢えずはけるよ、立て、ないか？」

深澤「無理そうじゃない？照背負える？」

『……いいっ、あるけ、ますっ、』

渡辺「無理すんなって。最初から、調子良くなかったんだろ？」

阿部「やっぱ？」

宮舘「足、痛めた？」

『………でもっ、あの子、わるくない、からっ、』

階段から突き落とされてしまった子は、たまたま見かけた葉歌くんに声をかけてサインを求めたらしい。

元々今日の公演を観に来る予定で、長年のファンだったとか。

その様子を見た俺ら、というか6人のファンの人が突き落としたらしい。

葉歌くんより、彼を応援しているファンが許せなかったとか。

突き落とした子は命に別状はなく、幸いにも怪我は大きくなかったそうだ。