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Sakuma side
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そしてやって来た地獄の時間、もちろん就寝時間。
各々が布団に入って、もう誰かはいびきをかいていたり、誰かは寝息を立てている中、隣の布団に入ったうたがずっと動いている。
正確に言えば周りに迷惑にならないような小さな物音で、動いてる感じ？
あぁ、体痛くて寝れないだろなって容易に想像がつく。
よくあるし、舞台中とかは薬飲んでもほんと寝れなくて、それでも毎日公演は続いてるからしんどそうだった。
そういうところ滅多に見せないから表立って分かるのはずっと一緒にいる舞台の時ぐらいなんだけどね。
『んんっ、ケホッ、は、』
うたの咳が聞こえた。
あーあ言ってたもんな、寝る場所変わると喘息みたいなのが出るって。
出会ってもう何年も経つけど、聞いたことはあっても知らないことってまだまだあるな。
そんなうたはゴソゴソ動いて布団から出ると、足音を立てないようにそーっと部屋から出て行った。
それに気付いてるのに放っておくわけないよね？
勿論俺はその後に続く。
佐久間「Aくーん、どした？」
『…！佐久間くん、ゴメン、起こして』
佐久間「いいって。しかもこれ起きてなきゃいけない企画でしょ？その方がありがたいよ」
『……そっか、ケホッ、ケホン、っは、』
佐久間「おーどしたどした、しんどいね。お水は、持って来た？飲めそう？」
『ここのっ、空気が、悪いって、はぁっ、ことじゃないのは、分かってるんだけど、っね、』
佐久間「うんうん、そうだよね。いいよ話さなくて、波が引くまでゆっくりしてな？薬は？」
『………きょ、酔い止め、も、痛み止めも、』
佐久間「そうだね、もう2種類飲んでるからあんまり併用したくないね。大丈夫、ゆっくりしてればよくなるよ」
辛そうにしゃがみ込んでしまった彼の、少し体温の高い背中を撫でる。
こんな時だってきっと頭の中では申し訳ないとか、最終回なのにって考えてるんだろな。
膝を抱えて座らせ、自分に寄りかからせていれば少し落ち着いてきたみたいだ。
逆に、手足は完全に冷え切ってしまっている。
起きているかの確認の動画を取りに来たスタッフさんにお願いして、中から毛布を持ってきてもらった。
それを2人でかけて、廊下で体育座り。
別に最終回だからって、動画を撮ってるからって、そんなの気にしなくていいじゃん。
これが俺らの毎日でしょ？
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作者名：Radu | 作成日時：2021年5月21日 22時
