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Sakuma side
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ポツリ、ポツリ、と語られるうたの言葉に何と答えるのが正解なのか分からなかった。
繋いだこの手を離したくない、それぐらいしか言えることが無かった。
佐久間「うた、デビュー発表は8月8日。その日はみんなの夢が叶う日だよ、勿論うたも」
『……だからっ、』
佐久間「うまいこと言えないからさ、うたを引き留められるか分かんないけど。
でもね、うたは、自分の努力に限界を定める人じゃないって分かってる。
好きなことはとことん突き詰めて周りが見えなくなって、怒られるぐらい。
そんなうたが、大好きな歌とダンスと演技を諦められるだなんて、俺は最初から思ってないよ？」
泣き笑いの表情を見せた彼は『ゴメン、疲れた』とだけ言って横になってしまった。
まだあどけないその寝顔を、一生見続けたいだなんて、贅沢を許して欲しいな。
病室をそっと後にして家へ帰る。
もうすぐうたと一緒に踊れる！と期待ばかりを寄せていた昨日が懐かしい。
それでも、譲れないものはあるよ。
翌日、サマパラの最終調整のために集まったメンバーはみんな寝れていないような顔をしていた。
ラウールは他のメンバーの顔色を伺うようなおどおどした様子だし、ふっかや照でさえ落ち着きがなかった。
岩本「昨日さ、うたに連絡したんだけど、返事来た？」
阿部「俺もしたけど既読だけ」
目黒「俺も」
ラウール「僕は動画撮って送ったよ」
宮舘「もしかしてみんな？」
渡辺「当たり前だろ、あんなこと言われて普通にしていられるわけないじゃん」
佐久間「電話してみる？」
向井「出てくれるやろか」
深澤「出てくれなかったらその時考えるってことで、電話しようよ。
今の俺らの思ってることを、全部伝えないと後悔する」
岩本「そうだな」
何コールか聞いてもう無理かな、と思った頃。
くぐもった声で電話に出たうたはその数秒後にカメラをオンにしてくれた。
昨日していた酸素マスクは外れたものの、まだ画面に映る彼はやつれている。
『……みんな、いるの？』
深澤「うた以外全員が集まってるよ。
最初に言っちゃうと、俺らはうたの脱退を認めるつもりはありません。
そうだよね？」
阿部「当たり前じゃん」
ラウ「ぜーったい嫌」
目黒「信じられないね」
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作者名：Radu | 作成日時：2021年5月21日 22時
