10人目の居場所は、ここに。 (ページ42)

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Fukazawa side

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『Snow Manを、抜けさせて下さい。』

『デビュー前に』

『みんなの許可なく脱退するような真似はしたくないから、考えておいて欲しい』

誰が、そんな言葉を言われると想像してただろうか。

日本に帰って来たうたは1日意識の無い状態が続き、ようやく目が覚めて、この言葉を発した。

生気の無い目

随分薄くなった胸板

透けてしまいそうなほど白い顔色

骨ばって脂肪の減った手

随分伸び切った前髪

手首に巻かれた包帯

点滴と輸血

酸素マスク

そんな彼は、決して気の迷いでこんな言葉を放つ人じゃない。

そのことを誰よりも分かっている。

岩本「なんで、なんで、そんなこと言うんだよ、なぁ？これからだろ、俺ら」

『僕の大好きなおそば。好きだからってずっと保管してたら、いずれ美味しくなくなるでしょ？』

深澤「何の話、」

『それと一緒で、ダンスだって同じぐらい好き。
でも、ずーっと続けてたら、いずれダメになる。
踊れなくなる日が来る。
使い物にならない日が必ず来る、そしてその日はみんなより確実に早い』

佐久間「そんなこと、前から分かってたよ？なんで、今更その話を持ち出すの？それで俺らが納得するって思ってる？」

『デビューが形になって、目の前に迫ってきた時、ようやく気付いた。
いつかはみんなのお荷物になって、邪魔になる。
その時になってやめるって言っても、僕だってちゃんとやめられるか自信ないし、みんなが嫌がるかもしれない。
そしたら早い段階がいいかな、って。』

目黒「それ、誰かに言われた？自分の思ってることじゃないでしょ？」

『そんなことないよ』

目黒「こんなに帰るのがサマパラのギリギリになったのも、妙なこと言うようになったのも、向こうであの振付師に会ったからじゃないの？」

『……っ、違うよ』

目黒「ちゃんと目を見て言ってよ！！！」

『違う、それは全然違う。前から思ってたことだし、あの人とは、何も無い』

ラウ「じゃあ、なんでよ、絶対嫌、みんなそうじゃないの？」

阿部「嫌だよ」

渡辺「最悪なんだけど。そこまで言うなら辞めれば？」

宮舘「翔太、」

渡辺「みんなそうでしょ？折角これから頑張ろうって時に、1人やる気ない人いたって嬉しくないでしょ？それなら辞めちゃえば」

深澤「最終的に決めるのはうただから何も言えないけど、もし辞めるなら、俺は一生恨むからね」

風鈴の音が遠くで聞こえる夜だった。