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Miyadate side
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メイクさんにも「体調悪いですか？」と聞かれ、機材をセットしてるスタッフさんに「撮影出来そうですか？」と声をかけられ、俺らが構う暇もないほど。
普段のうただったら、『大丈夫です』と平気な顔をするのに、今日は『申し訳ないです』とまるで自分の体調が悪いことを認めるような態度。
その方が俺らにとっては都合がいいというか、隠されないからうたの状態が分かっていいんだけど、なんか変だよなぁと思ってたり。
スタジオまでの道、後ろを歩く翔太の隣に立ってみれば、「困ったね」と声をかけられる。
こういう時、一番うたのことを気にしているのは翔太なのかもしれない。
「ここの問題なんだろうね」
そう言って翔太は自分の胸の辺りを叩いた。
「きっとそうだろうね。悩み事があるのか、自分の仕事がうまくいってないのか」
「うたの仕事がうまくいかない時ってあるか？」
「俺らから見たらうまく出来てても、うたは悩むことが多いでしょ」
「確かにな。今日涼太ってこの後仕事ある？」
「無いよ。後で家に行っていい？って聞いてみる」
撮影中も、口数はいつもの何倍も少ないし、カットがかかる度に水を飲んでたり、常時苦しそうな表情は変わらなかった。
1本目を撮り終わると、うたは見ているこっちが不安になるほど安定しない足取りでトイレに行った。
その後を付いて行くのも申し訳ないし、新しい水を持ってきてあげようと思って、楽屋まで戻る。
うたの黒い革の鞄から覗く市販の頭痛薬、病院で処方されてる薬との飲み合わせが怖いからと市販薬をあまり手にしないうたが珍しい。
病院に行く時間がなかったか、行っても効果がなかったのか。
『あ、舘さん』
「水取りに来た？」
『うん、』
「ほんと顔色悪いね、吐き気は？」
『……ちょっと、ね』
「他は？頭痛いだけ？」
『うん』
「次の撮影始まるまで寝てな？起こしてあげるから」
『んー、そうしたいんだけどね、ちょっと用事思い出したから』
薬のことは聞けず、物凄い集中力で作業を始めたうたの隣に座っていることしか出来なかった。
時々みぞおちの辺りを擦る手が気になったけど、途中で邪魔されるのも嫌だろうし。
「うた、もうすぐ再開するって」
『はーい』
「今日さ、うたの家行ってもいい？」
『いいですよ。久しぶり、舘さん来るの』
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作者名：Radu | 作成日時：2021年5月21日 22時
