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Iwamoto side
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うたの様子がちょっと変かも、そういつものノリで近付いて来て耳打ちしてきたのは佐久間だった。
確かに前を歩くうたの歩き方はいつもとちょっと違う。
本人は隠してるつもりなのかもしれないし、動画として上がった時に気付くファンの人がどれだけいるのかは分からないけど、少なくとも俺らはすぐに分かる。
右足を庇うように引きずる歩き方、あれを繰り返すと左足にも負荷がかかって結局両方痛くなるって前に言ってたのに。
またあいつはそういう大事なことを俺らに隠そうとしてるのか。
お店が並ぶ方へ散らばって行くメンバーに対し、その匂いが近くなると立ち止まってしまったうた。
他のメンバーには先に行くよう合図して、阿部と俺だけがその場に残る。
「うた？酔った？大丈夫か？」
その声を聞いて俯いていた顔を上げた彼の顔色は真っ白に近いほど最悪で、パッチリとした二重がどよんとしている。
胸の辺りを擦って ふーっ と息を吐く彼は見ているこっちまで辛くなりそう。
阿部「吐きそうな感じだね？無理しなくていいよ、トイレ行こうか。照におんぶしてもらう？」
『………や、大丈夫、っ、はぁ、自分で、行くんで』
岩本「無理すんなって、これから長いから、な？」
『………2人は、先、行ってて、』
そう言い残すとスタッフさんに連れられて、猫背な彼はトイレに行ってしまった。
頼りたくない、迷惑かけたくない、自分で何とかしなきゃ、そういうところが彼のちょっぴり悪いとこ。
いくらスタッフさんとは言え完全に心を許せていないんだから、ましてや人見知りの彼のことなんだから。
わだかまりが心の中に残りつつも、ここにいても仕方ないから撮影に合流する。
ラウ「うたくん、大丈夫なの？」
阿部「大丈夫。スタッフさんが付いて行ってくれたし、戻ってきたら俺らでサポートしよ」
ラウ「そうだね。うたくん、何なら食べられるかな」
渡辺「ガッツリしてないのなら、食べられるかもな」
"ごめんなさい、お待たせして" そう言いながら戻って来た彼の顔色は相変わらず悪いままだし、額に貼り付いた前髪が冷や汗の跡を表現している。
目黒「Aくん、これ食べる？」
『お、いいの？美味しそうだね、頂きます』
佐久間「あー！！Aだけズルいぞ！！！」
『え？』
阿部「自分が買ったこと主張したいだけだよ」
『佐久間くん、ありがとうございます』
佐久間「…おっ、おう」
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作者名：Radu | 作成日時：2021年5月21日 22時
