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Raul side
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『おはよーございます』
全身黒、マスクまで黒でメガネを掛けたAくんが稽古場にやって来た。
早退した翌日のお昼前のこと。
スタートから稽古に参加できるのは久しぶりで、ちょっと浮足立つ感覚。
岩本くんは真っ先にAくんに近付いて熱が無いか額をペタペタ触ったり、瞼を引っ張って見たり。
岩本「うた、瞼の裏真っ白だよ」
『あー、昨日病院行って採血されて、言われました』
佐久間「え！病院行ったの？どっかしんどい？」
『いや、普通に薬が切れたので』
佐久間「そっかそっか！なら安心！！」
宮舘「昨日は撮影までゆっくりできた？」
『お陰様で。あ、ラウールくん、ありがとう昨日は』
ラウ「…え、いや、全然です」
阿部「人見知りしてる？」
ラウ「なんかちょっと、」
宮舘「それ以外にも理由あるもんね」
ラウ「はい！」
渡辺「何それ？そこだけの秘密みたいな？」
向井「うわーずるいわ」
昨日より格段に元気そうなAくんを見て安心した。
と同時に、宮舘くんとの会話を思い出してちょっと恥ずかしいのも事実だね。
『そうだ、昨日帰らせてもらったんですけど、結局撮影が機材トラブルで延期になって、家にいたんです。それで、久しぶりに料理しようって思いまして』
佐久間「まさか！？」
『持って来ちゃいました』
Aくんが大きなバッグから取り出したのは大量のタッパーケース。
沢山の種類の料理が詰め込まれていて、中には見たことのない料理まで。
目黒「これ、全部作ったんですか？」
『料理ぐらいしか趣味がないんで』
深澤「うたの料理は世界一美味いよ、マジでプロのシェフ並み」
阿部「お！これはブイヤベース？おじいちゃんの秘伝のレシピの」
『そうです、良かったら食べて下さい。デザートにクリームブリュレも作って来たんで、冷やしておきますね』
佐久間「うおー！！やる気出るわ！ありがとな！！」
宮舘「ちゃんと休めた？」
『ご飯食べなきゃなって思って料理始めたら、止まらなくて。いいリフレッシュになりました』
岩本「ならよかった、頂こうか」
他のジュニアの子たちも巻き込んで、その日のランチは賑やかになった。
デザートに移り始めた頃、Aくんが口を開いてこう言った。
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作者名：Radu | 作成日時：2021年5月21日 22時
