不可思議フィノメノン！ ページ28
小躍りするグリム達を見て、ユウは口元に手を添えて、にやにやしていた。
.「やっだあーすっかり仲良しじゃなーい。嬉しいわ、ねえ？あなた？」
『そのあなた役、僕なの？』
唐突な夫婦劇。
「あっ、ち、違う。別にこれは、仲良しとかそういうんじゃない！」
「そ、そーそー！変なこと言わないでくんない？」
「オッ、俺様が大天才だから勝てたんだゾ！力を合わせたから勝てたわけじゃねーんだゾ！」
『ツンデレかよ』
「ツンデレでもねぇよ！……って言い訳すんのもダサいか｣
『ツンデレ認めた？』
「そこじゃねーよ、悔しいけど、ユウの作戦とAの魔法勝ち、ってこと！」
『僕の魔法……？』
「だってそーだろ？あの…糸？の魔法」
イトノマホウ？
『さっき化け物に絡まってたやつ？』
「そーだよ、……ていうか自分で出した魔法だろ？」
『ま、まーね』
無意識だったなんて言うと、凄さが半減しそうなので内緒にしておこう。
「しかし不思議な魔法だったな……召喚魔法にしては少し違う気がするが……」
手には無意識に握ったままになっていたマジカルペンがあった。
私のペンの石の色はよく分からない。角度によって色んな色に見える。魂に色もかたちもないと言われたまさに私みたいな石だ。
「お前、まだ顔色悪いけど大丈夫なわけ？」
『うん』
もう帰るだけだし、言わなくてもいっか。
「そ。ま、何はともあれ……ほら！」
『何？』
「ハイタッチだよ！ハ・イ・タ・ッチ!!」
『あいよ』
手を合わせてパチンと音が鳴った。
「僕達もやっておくか？」
.「俺はいいよ別に」
「早く手を挙げるんだゾ！」
.「聞いてた？あーもう、はいはい、イエーイ」
もう一度パチンと鳴る。
「これで退学させられずに済む、本当に良かった」
.「んじゃ、さっさと学園長にそれ渡してこないとな」
…
『ん、何これ……』
帰る途中、足にコツンと石炭のような真っ黒な石が当たった。見た目からしてなんだか嫌な感覚がする石だ……
足を止め、興味本位でその石を拾い上げると、
『ッ……!?』
黒い石の何かが私にまとわりついた。
「そうそう、俺なんて今日の昼飯はAがパンにホイップクリームたっぷり……って、あれ？A？」
話している中、横に居ない私に気がついたエースが後ろを振り返ったのが見えた。
「ちょ、おい！A!?」
焦った声を聞いたのを最後に、私の意識は飛んだ。
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作者名：トランプの化け物 | 作成日時：2020年8月16日 3時
