執着チェイス！ ページ27
静寂の森
「嘘だろ！？あんだけの重しを全部おしのけて追っかけて来た！」
「ウウ…ウウウッ…！イジ……カエセェエ……っ!!」
『このままじゃ、追いつかれる!!』
.「相当弱ってんなあ、今ならワンチャン……」
「あーっ、もぉ！やったろーじゃん！チビんじゃねーぞ、真面目君」
「お前こそ！
おい、Aも構えろ！」
『……うん』
化け物と向かい合わせになって、見様見真似でマジカルペンを構える。
化け物との距離は結構近い。やばい、足がふらついてきた。
「俺様の真の力、見せてやるんだゾ！」
『……』
…
「……、…！……！？」
声が遠くに聞こえる、
「………！………!!!!!!」
あれ、何してるんだっけ……
確か私、化け物と＿＿
.「おい、A!!!!」
ユウの声が聞こえて、状況を思い出した。
私…また意識が遠のいて……
そしてその直後、自分の周りの影が濃くなった。
あれ、何で……
俯いていた顔をあげると、
『ッ……!!?』
あの化け物が自分の目の前でツルハシを振り上げていた。
「バカ！逃げるんだゾ!!」
「ウォオオオオオ!!!!!!」
やばい………っ!!!!
逃げる余裕なんてない。振り下げられるツルハシを前に、目をきつく瞑って覚悟した。
『ッ……』
……しかし、衝撃は一向に来ない。不思議に思ってゆっくり目を開けると、
『え？』
化け物は何故か身動きが取れなくなっていた。
「グヌゥウアアアアア!!!!!」
よく見ると、化け物の体の隅々にキラリと光る糸のようなものが張り巡らされている。
え、何…？状況についていけないんだけど……
「今がチャンスだ!!畳み掛けるぞ!!!」
デュースの合図とともにエースとグリム達が一気に魔法で追い打ちをかける。
そしてついに、
「か、勝った……俺様たちが勝ったんだゾ！」
あの化け物は溶けるように消えていった。
「よっしゃあ！」
「やったあ！」
勝利のハイタッチを交わして小躍りする三人。何が起こったのかよくわかんないけど、何とか無事解決したらしい。
しかし、あの化け物を倒しても私の体は重く頭も痛いまま、なんなら少し目も霞んできた。
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作者名：トランプの化け物 | 作成日時：2020年8月16日 3時
