我儘スリー！ ページ23
ドワーフ鉱山・静寂の森
「ここまで来ればあいつもきっと追いかけてこないんだゾ」
.「なぁ、Aなんか顔色悪いけど大丈夫？」
『わかんない……』
.「わかんないってお前……」
本当に分からない。あの化け物のドス黒い何かを感じてから、立ってられないほどじゃないけど、何故か頭痛いし体が重いし、息がしずらい。
「いってぇ…なんだってんだよさっきの！あんなの居るなんて聞いてねーって！」
「ただのゴーストではなさそうだったな……」
「もう諦めて帰ろーよ。あんなんと戦うくらいなら退学でいいじゃん、もう」
「なッ！？ざっけんな！退学になるくらいなら死んだ方がマシだ！魔法石が目の前にあるのに諦めて帰れるかよ！」
「はっ、俺より魔法下手くそなくせに何言ってんだか、行くなら一人で行けよ。俺はやーめた」
『ちょっと……』
「あぁ!!そうかよ!!!!!!なら腰抜け野郎はそこでガタガタ震えてろ!!」
「はぁ〜〜〜〜??腰抜け？誰に向かって言ってんの??」
いやまじで、まじで一旦黙ってくれ、「喧嘩しないでぇ〜仲良くしようよぉ〜｣とかそういう意味じゃない。頭が痛い人に大声は響くんよ、特にデュース、あんたの「あぁ!!そうかよ!!!!!!」は私の頭には致命傷だったぞ。
そしてデュース、その唐突のキャラ変にお母さんはびっくりです。
『ねぇ、魔法でどうにかなんないの？』
「魔法は万能ではない。強くイメージ出来なければ魔法は具現化しないんだ。大がかりの魔法や、複雑な魔法の使用には訓練が居る」
「だから魔法学校があるんだけどね、パッと思い浮かべた通りに魔法を使うには、かなり訓練が必要って訳ぶっちゃけ、テンパってるとミスりやすい……
って、これくらい常識でしょー？異世界から来たならともかく、Aはこの世界の人間でしょ？」
『あーうん、そーね』
まあ、説明はいいか。
「とにかく、俺はなんとかしてあいつを倒して魔法石を持ち帰る」
「だーかーらー、お前さーシャンデリアの時とはいい実は相当バカでしょ。さっき全然歯が立たなかったくせに「なんとか」って何？何度やったって同じだろ」
「なんだと!?お前こそ＿＿＿＿」
「また始まったんだゾ……」
『ねぇユウ、どうす……あ』
グリムでさえ呆れてしまうこの言い合い。何回目だよ。と突っ込みたくなる。が、今はそれどころでなはないことに気がついてしまった。
気づきたくなかった。
冷めた目でユウが黙って見ていたことを……
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作者名：トランプの化け物 | 作成日時：2020年8月16日 3時
