権化ディマイズ！ ページ16
緊張からか、渇きからか、私は知らず知らず唾を飲み込んでいた。
背を向けて逃げることには全く抵抗は無いけど、むしろ逃げたいけど！背を向けたところであの化身からも獲物を捉えたような目からも逃げ切れるとは到底思えない。
｢笑えるな。ハイエナ1匹を逃がして、残されたお前はどうする。俺と1体1でやり合うか？｣
『まさか。やり合いませんよ。僕じゃあなたに……』
ふと思い出した。
この人がオーバーブロットする前、私に訊ねたことを。
『あなたが
その言葉は否定しない。だって、間違ってないから。
話しをながら少し視線を遠くにずらすと、レオナ・キングスカラーの背後の影が揺らめいたのが見えた。
『でも、絶対的な壁があって、差があって、それで？
……諦められるならあなたも苦しんだりしないでしょ』
そう言った直後、レオナ・キングスカラーの背後で化身が倒れた。
｢なっ……ッ…！｣
リドル先輩たちの活躍により、化身が倒れるとレオナ・キングスカラーの力も弱まり始めた。
砂嵐が止まり、辺り一帯に充満してた禍々しいエネルギーも落ち着いていく。
今なら……
一度深呼吸をして、私はピアスを外し、項垂れるレオナ・キングスカラーに近づいた。
マジカルペンはある程度ブロットの蓄積を肩代わりしてくれるだけ。つまり、ブロットの大半は術者の中に蓄積されてる。
リドル先輩の時、確かにマジカルペンを取ってブロットが消えたけど、取る時私はリドル先輩の手にも触れてた。
マジカルペンを介してブロットが消えたのか、本人に触れたことでブロットが消えたのか、どっちかは分からないけど、おそらくどっちでもブロットがあれば私の方に来るはずだ。
目の前まで行くと、翡翠色の瞳がこちらを睨む。
『早く戻りましょ』
｢……黙れｯ……なっ！？｣
弱々しくも振り払おうとした手を私はニヤリと笑いながら掴んだ。
『出血大サービスですからねっ！』
直後、レオナ・キングスカラーの体からリドル先輩の時同様の黒いものが溢れ出す。
私の予測が当たった。
それと同時に、私の腕はユニーク魔法の影響ですぐにパキパキっと嫌な音を立てて干上がっていく。力が弱まったとはいえ、この人の力は桁外れで、直接触れればこうなることもなんとなくわかってた。
黒いものが私の方へと流れ込んでくると、視界が徐々に闇に飲み込まれていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 314人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トランプの化け物(プロフ) - にゃーちゃんさん» コメントありがとうございます!!!!!┏○ﾍﾟｺｯまだまだ2章ですが、約300ページもあるものを一気読みしていただけて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2023年1月8日 23時) (
レス) id: cf0e2ef387 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！めちゃくちゃ面白くて、一話から一気読みしてしまいました！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！ (2023年1月1日 23時) (レス) @page5 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トランプの化け物 | 作成日時：2022年12月19日 17時
