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「……」
目隠しをすれば、何も見えない。
アーミーは努力をした。が、彼には沢山の声が聞こえた。
「律者になる前に殺せば、世界は混沌に包まれる」
「彼は律者になるべき。ワタシの崇高なる秩序のために」
「隊長、隊長許してください、ボクが、ボクのせいで、あぁ、」
「待て! まだお前をヒトに戻せるかもしれない……から、血清をまた探しに行くから、だから……だから!」
「律者に……ならないで、アーミー……!!」
ここにいるヒトだけでない。
知らないヒトの声もよく聞こえた。
「崩壊なんてやになっちゃう。早く終わんないかな」
「律者? 意味わかんない、いなくなればいいのに」
「世界を平和に! 世界を平和に!」
「知ってたー? 崩壊って人為的なモノらしいよー」
「──……ああ」
うるさい。うるさいうるさいうるさい。
『全て滅ぼしてしまおう。心をワガハイに預けろ』
『誓え。ワガハイは貴様を裏切らない』
『ワガハイなら全ての動きを読める。がっかりはさせない』
『いつまで抵抗するつもりだ? ワガハイなら、』
自分の中に生まれている律者人格の声がどんどん大きくなっていく。
もう、抑えられない。
だが。
『もう……貴様に力は残っていないだろう』
アーミーは、
『その肉体、貰ったぞ』
己の結末を知っている。
それこそが、【瞳察】の力だったから。
「……ッ!」
「なにっ、」
「アーミー、お前……!?」
アーミーは自身の目隠しを剥ぎ取り、破り捨てた。
これまでに無いほどの強い光が瞳から溢れ、部屋の外が夜なのにも関わらず黎明のような明るさになった。
彼は立ち上がり、ヒトを超えた力で二つの武器をのける。
「遅すぎたか!?」
「これこそがワタシが待ち望んだ時……!」
「……ワガハイは……」
アーミーは自分のブキ、N-ZAP85を手に取る。
その銃口を自分の顎に当てる。
「崩壊の意思の思い通りには──ならんッッ!」
ダンッ、と音が聞こえた。無論、銃声だ。
誰もがその光景を眺めることしか出来なかった。
アーミーは、崩壊の意思が最期に授けたかのように【思われた】言葉の破片をそのまま受け取った。
だから、彼はそれに反抗した。
その結果──崩壊の意思の計画は完遂したのだ。
アーミーの肉体に宿る【アーミーそのもの】の意思は、【律者人格】にとって邪魔でしか無かった。
【アーミー】は、死んだ。
律者人格が彼の中で起動した。
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時