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「……」
ゴーグルは目を伏せた。
もう何千年も生きているのだ、良くも悪くも彼は【大人】になってしまった。
幼かった頃のような純粋な心はもう持っていない。
「……投与を、開始する」
いいな? とライダーが尋ねるとアーミーはこくりと頷いた。
どうやら目隠しなどを初めてからずっと意識を保ち続けているようだ。精神が限界状態に達するのも時間の問題だ。そうすれば、完全な律者として目覚めることとなる。
時間がなかった。
注射の針を、アーミーの腕に刺す──その時。
ドンドンドン!
ドンドンドンドン!
扉を乱暴に叩く音がした。
と同時に──キュピン! とアーミーの方からも音がする。
目隠しの黒い布を貫通して、目元がトパーズ色に光っている。
【瞳察】の権能が発動してしまう。
よって、アーミーはこれから何が起こるかの予想を立ててしまった。
真の律者となる確率が、うんと上昇した。
「(誰だ、こんな時に……!?)」
「オレが出るよ、ライダーは注射をはやく!」
「……おい」
扉越しに声がする。
ゴーグルにとっては、聞き覚えがある程度の声色だ。
「え?」
「扉を開けろ。【ヘリオドール】だ」
「──ッ!?」
少々ハスキーだが、深刻さをはらんだ声。
ヘリオドールのリーダー、ギガギョコツだ。
「開けないなら──壊すまで」
「ライダー、避けてッ!!!」
刹那──目にも止まらぬ速さで、扉は破壊された。
ギガギョコツは裸足で地面を蹴り、ライダーを押さえつける。抵抗も虚しく、ライダーの持っていた血清は──【唯一の希望】は、ギガギョコツの手で握り潰された。
血清はもはや、使い物にならない。
「テメェ、何しやがる!」
「何って……お前らを【助けてやった】んだよ。感謝しろ」
「ほざけ! この血清はヒトに戻すためには不可欠な──」
「うるせえ、この血清は……【ハーキマー】の罠だ」
「!?」
「証拠として……」
ギガギョコツは机に並べられたいくつもの血清の入った小瓶を舐めるように見回した。
そして、ある血清とこの【M4-QRtouE9】を見比べる。
「アンクルを当てて調べてみるぞ……」
ギガギョコツの武器、プロモデラーPG。
そこから放たれるのは最も強いアンクルの一角、黄金に燦々と輝く【アンクル:ヘリオドール】だ。
アンクル:ヘリオドールはこのM4-QRtouE9に当てられる。
すると、血清は──
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時