崩壊✦コバルトアンクル【コロイカ】

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終末が確定した世界というのは、どこか力が抜けている。
　最近では建物の工事の事故も増え、交通事故も増加傾向にあった。ヒトはやる気を失っていた。

　しかしヒトというのは余裕のある生き物。
　崩壊現象という悪魔がまだ自分に微笑んでいない、そう解釈するヒトは非常に多く見受けられた。
　例えそれがラピスヴェルヴンのインクリングだったとしても、だ。

　ある日、ブルーチームはラピスヴェルヴンの食堂で昼食をとっていた。


　──これは数分前、そんないつもの昼下がりの話である。


「またXブラッドがお手柄だって！ すごいね〜」
　ヘッドホンがサンドイッチを食べながらイカホの画面をその他大勢に見せる。
　Xブラッドのリーダー、ヴィンテージが崩壊獣をなぎ倒す場面がしっかりと動画に写っている。

「オレ達ももっと強い敵を倒すために見習わなきゃね……」
「メガネくんはマジメだなぁー！」

　大きなカレーのひとくちを口の中に無理やりぶち込みながらゴーグルはにこにこと笑っていた。


「──そーいえば、あの話知ってる？」

　ニットキャップが屈託のない笑みを浮かべて言った。
　他の三人はきょとんとした顔で彼女の方を見る。



「終焉の律者までの全員、もうコードネームがバレてるらしーよ？」

「！？」

　ニットキャップはあくまで噂話だと弁解したが、やや小声で話していた。

「アタシが聞いた話だと、次の律者は【瞳の律者】で、なんか〜、未来予測が出来る律者なんだって！」

「未来予測かあ、アーミーの時の戦いを思い出すね！
　あの時確かゴーグルがカレーなんて食べてたから勝てたんだっけ」

「もしかしたらボク達、すごい情報を手に入れちゃったのかもしれない！ 予測を専門とした特訓をライダーにやってもらえば、ボク達次の律者戦で大手柄をたてれるかも！？」

「確かに！ そうと決まれば早速……ってあれ？ ゴーグルくん？」


　のどかな昼食の席からゴーグルは忽然と消えていた。
　三人は頭上にハテナを浮かべながら、すぐに納得した。ゴーグルが急に消えるなんて言うのは、よくある話。
　いつの間にか笑顔で戻ってきているのだ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


(アーミー、どこっ！？)

　ゴーグルは全速力で走りながら【出処】を探った。

(どうしてみんな分からないんだ！？ こんなに吐きそうになるほどの崩壊エネルギーが出てるのに)

　途中で少佐に怒られるも、構わず走る。

　そうして彼は、扉を開ける──……。

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