2-9. ページ25
「〜〜〜!! 〜! 〜〜〜!!!」
本当になんの変哲もないある日だった。
二人はラピスヴェルヴン本部に呼び出され、そして薬を飲まされたのちに実験室にて拘束された。
スミカケもゲーダーも、手足の拘束はもちろん、ゲーダーに至っては口まで縛られ、身動きの取れない状態となっていたが、しばらくしたのちに意識を失った。
「やあやあすまないね、こんなふうにしてしまって」
一人のインクリングが現れ、二人の姿を哀れみ、そして拍手をしながら称えた。
スミカケは思いっきりそのインクリングを睨みつけた。
「何が目的だ! こんな汚いところに連れてきやがって……!」
「目的? あっはは、愚問だね! それは──秩序のためさ!」
「秩序……?」
「そう。わたしは崇高な秩序を追い求める──それを叶えるためには、世界全てをひとつにする【崩壊】が欠かせないのさ!」
自分に酔っている。
スミカケはどうしようもない吐き気と穢れを感じた。
「──キミには才能がある」
「才能……」
「キミにはこの世界を【オソウジ】してもらわなきゃ。それこそが秩序を保つ第一歩。
この世界は穢れすぎている……そう思わないかい?」
耳鳴り。
キィーン……と、気づかないほどの耳鳴り。
「この世界は、確かに汚い……」
「そうだろう? だから君が綺麗にするんだよ。そうすれば秩序は完成に近づく。協力しあおうじゃないか」
スミカケが耳鳴りと勘違いしていたのは彼の【オーダーシグナル】。誰もの思考を阻害し、秩序に偏らせる、いわば洗脳装置。
強い意志を宿す者ならそれを跳ね除けることが出来る。スミカケも強い意志を持ってはいたが、長い拘束時間がそれを溶かした。
「きれいに、したいかい?」
甘い甘い、耳がとろけるような囁き。
スミカケは半ば強制的に頷かされた。
「決まりだ! キミも今日から【ハーキマー】の一員だ。わたしたちと共に【マーカサイト:オーダー】を実現させよう!」
頭の中に混乱の色を見たそのインクリングは、爽やかに笑ってゲーダーの方に【視線】を移した。
「最初の、仕事だよ」
彼は白銀色の【アンクル:ハーキマー】が詰め込まれた【スプラチャージャーベッチュー】をゲーダーの脳天に直撃させた。
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時