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「ぐっ……うぅ……!」
ゴーグルがどんなに力を入れようと、扉はビクともしない。鍵にアンクルを撃ち込んでみても、何も変わらなかった。
(ここにスミカケがいるんだ……何がなんでも開けないと!)
ドアノブをガチャガチャやったり、力の限り引っ張ったり。
状況は変わらないが。
「ゴーグルくん。そんなところで何をしているの?」
「!」
特徴的なゴーグルを装着した、黄緑色のゲソのボーイ。
ライダーのチームメイトであるナイトビジョンだ。
「ナイトビジョンくん!」
「この中に入りたいの?」
頷くゴーグル。
ナイトビジョンのゴーグルの向こうにある目が微かに笑みで細まった。
「……はい。これ、ライダーが管理してる鍵」
「えっ、いいの?」
「ボク隠密行動得意なんだ、鍵使ったら返して、気付かれないように元の場所に戻しておくから」
「あ……あ、ありがとう〜!!!」
ゴーグルは目を輝かせて、その錆びた鍵を受け取った。
鍵穴に差し込み、かちゃりと回す。見事に扉は開いた。さっきまでの硬さが嘘のようにすんなりと。
鍵をナイトビジョンに返し、ゴーグルは単独でその薄暗い部屋の奥に足を踏み入れた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あちこちからネズミの鳴き声や、コウモリの羽音が部屋にこだまする。
空気は湿っていて、ところどころある水たまりを踏みながらもゴーグルはどんどん奥へと進んでいく。
頼りにできる光は、自分のアンクル:コバルトだった。
アンクルは暗闇に対応できるように、淡く光るような機能が搭載されていた。
「スミカケー?」
いやに人の気配がしない。
悪夢に現れそうな、心が凍ってしまいそうな空間。
「……答えてよ、スミカケー!」
──じゃらり。
微かだが、確かに金属音がした。
ゴーグルは心臓が素早く波打つ中、即座に音の聞こえる方に走っていった。
「スミカケ──え?」
彼はスミカケを発見した。
「ちょっと、ねえ」
……ゴーグルは、最悪の事態を想像していた。
いつでもヒトを呼ぶ準備はあったし、応急処置くらいの道具なら持ち合わせていた。
もし、スミカケはそんな目にあわせたヤツがいようものなら、いつでも戦う用意だってあった。
「……」
しかし、そんな【死】が途方もない救済に思えるほどには、スミカケの惨状は非情なものだった。
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時