2-1. 透雨の章 ページ17
「今日も、また雨か……」
そんな声がラピスヴェルヴンのあちらこちらに飛び散っている。
ここ一週間、ヒトは晴れ空を見ていない。
まるで神が泣いているかのように……雨が降り続けているのだ。
「ねえライダー、スミカケ見なかった?」
「スミカケ? さあ……オレも最近見てねーな」
「うーん。どこ行っちゃったんだろ」
第一次崩壊が終わったあと、様々な仲間がラピスヴェルヴンに加入し、ヒトからインクリングとなった。
崩壊に親を殺された者、崩壊に家を破壊された者、生きていく術を失った者……少なからず、崩壊に対する絶対的な反抗心からの加入がほとんどだった。
しかし……その中でも異端なヒトがひとりいた。
【アンクル:ブルーパール】のスミカケと、そのチームのゲーダーだった。
彼らは元々四人組で生活していたが、そのうちの二人──アローはゾンビと化し、それにリブが殺された。
対崩壊組織のラピスヴェルヴンに加入する動機としては、聞こえは悪いものの、いわば【あるある】であった。
だが。
リーダーのスミカケは、それよりもある事を気にしていた。
「……つ……にし……」
ライダーが聞き返すと、スミカケは鬼の形相で叫んだ。
「もっと、清潔にしろーーーー!!!!!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
スミカケ達の住んでいた地域は、いわば過疎地域。開発も進んでいなかった。だから、第一次崩壊の影響は薄かった……が、それはウイルスとして現れた。
彼ら四人は孤児院の仲間達だった。ボロボロの家に住んでおり、崩壊発生時も家の中に篭っていた。
ふと、アローが換気のために窓を開けたのだ。
外は大粒の雨が降っていた。風も、強かった。
──それが、吹き込んできた。
雨粒には、致死量のウイルスが含まれていた。
アローが感染した。
いとも簡単に、たやすく、呆気なくゾンビとなった。
……普段からやむなく不潔な生活をしいられていたせいだ。
免疫力が著しく低下していたのだ。
偶然居合わせたインクリングに討伐されたものの、リブも犠牲となった。
あれから千年、スミカケは清潔さに対して異常に敏感になり、他から潔癖症と揶揄されるまでとなってしまったのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その叫びに、ゴーグルは心を動かされた。
それから彼らが友人関係となったのは、間もないことだった。
共に崩壊と戦う日々。
ゴーグルは、しばらくスミカケを探す事にした。
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時