桜麗華学院の〈桜国〉

22話 ページ48

「じゃんけん！？」

赤井が叫ぶ。智子は笑い、新垣は驚くだけだった。

「そうよ。本当は天国と地獄のすごろくを用意していたのだけれど、私達も四時から桜国の会議があるのよ」

時間は三時。つまり、早々にゲームを終わらせないといけない。


「じゃんけんに特別なルールなんて無いわ。ただ三人でじゃんけんをするだけ。単純でしょう？

勝った人が優勝よ。あ、あと……優勝者は今夜私の家に来てもらうわ。だから、桜国の部屋で待ってて頂戴ね」


そして、じゃんけんが始まる。

「さ、最初はグーで始まりますよね？」

「新垣……」

「ふふっ、お生憎様、私はじゃんけんが得意なんです。敗北を知らないので、勝ちます。絶対にね」

一回目。
全員がパーを出し、あいことなった。

二回目。
新垣がパー、赤井がグー、智子がチョキを出した。

三回目。
全員が奇跡的に同じ手を出し、またもやあいこ。


「じゃ、じゃんけんって疲れるな……」

「ふふ、こうなったのも想定内、次は必ず勝ってみせますよ。貴方達が次出す手は知ってますからねぇ？」

「ああもう負け確じゃん」


四回目。
新垣がグー、そして赤井と智子がパーを出した。


「あっ……」

「まぁ、まずはこんな所ですね。鬼ごっこではほぼ何もしていないのでしょうし、ね」


「新垣 翔真は復帰の権利を没収します。残念だったわね、さよなら。では続けて頂戴」

「だ、だよね……」

すると、水琴が現れた。

「新垣サン。僕、アナタにはいてほしい。僕の力で、君はきっと復帰できる、今日家に来れるかな」

「えっ……」

あらあら、意外な展開ね。
そんな終わり方も良いと思うわ……。


「続けて頂戴」

五回目。
両方がグーを出し、あいこだった。

六回目。
両方がチョキを出し、またもやあいこだった。


そして、七回目───。


「……っ！」

赤井がチョキを出し、智子はパーを出した。

「良かったな、敗北を知れて」

「そ、そんな……そんなはずは無いわ。貴方は心理学的に見て次はグーを出す筈だったのに！」

「俺もそうだったんだけど。
直前でチョキの方がいいかなーって」


「勝負あったわね。
蘇生大会の勝者は赤井 蒼佑で決定！」

花蝶の太陽の様な笑顔と、赤井の月の様に輪とした顔。


彼らの顔が重なった。

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