桜麗華学院の〈桜国〉

15話 ページ19

それから学院全体で作戦を考え、それを明日、実行する事にした。ああ、楽しみだわぁ。

次の日──姫香が教室に入ると、女子は彼女の周りへ、そして男子は顔を赤く染める。

そうそう、予定通り。
男子なんて、よくそんな演技出来るわね。くすっ。


「姫香〜！！おはよっ！」
「待ってたよ、一緒にお話しよっ♪」

「来たぞ姫香、お前告白してこいよ」
「やだよ。それこそ悠斗お前、先行けよ」

姫香は絶望していただけあって、今まで以上に明るくて、闇のある顔を女子達に向けた。


「うんっ、お話しよぅ！」

彼女の周りにいた私の完璧な子分は、私と目配せした後に、姫香の席まで行った。

そう、完璧な作戦。完璧な女王。
これが、人のあるべき姿なのよ───。

「だぁよねぇ！これ、カワイイでしょ？あたしが着るとどんな服でも可愛くなるのぉ！」

「そ、そうだね〜！それな！」

それにしても姫香があんなに調子に乗ったのは想定外だわ。明日がより楽しみになったわ。

彼女の絶望する顔は、私を元気にする。

────

「あのさぁ、姫香」

「何？大輔くん」

「何で、そんな悲しそうにしてるんだよ」

静かな雰囲気があたし達を包み込む。いきなり大輔から呼び出されてびっくりしたんだけど。

「え……？だってそんな、あたし」

「そんな顔すんなよ。好きな人には笑顔でいてほしいだろ……？」

はにかむ大輔。あたしは軽く俯き、上目遣いで「ほんと？」と小さく呟いた。

「俺が嘘を付くとでも？」

「だって、大輔くんは女王様の騎士でしょぉ？」

「ああ。あいつは学院の頂点だろ？断ったら何があるか分かんねーし……それにお前は虐められてた」


俺、そーゆー人を守りたいんだよな──そう言った後、彼はあたしにキスをした。

「大好き。この関係、女王様には絶対言うなよ？」

「うんっ、もちろん♡」


ルンルン気分で大輔と恋人つなぎで歩く。周りの人には尊敬の目で見られた。

うふふ、やっぱり皆んなあたしに戻ってきて欲しかったんだ。女王様、自爆おつかれ〜。

新しいクイーンは、あ・た・し♪

────

「途端に人生に変化があるようなら、周りの人を疑いなさい。姫香になりたくないならね」

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