桜麗華学院の〈桜国〉

9話 ページ35

──Side三宅

「おらぁ、早く探せよ雪菜ぁ！」

赤髪の真理子さんが叫ぶ。青髪の智子さんは「ふふ、愚かですねぇ！」と吐き捨てた。

私は三宅 雪菜。北桜さん達と一緒に退学させられた、「敗北者」の一人。(自分で付けた名前よ)

今私は泥んこになってまで桜の花びらを探させられてる。どうしよう、でも見つからないんだ。

草むらの中は探したし、池の中も……。
もう探す場所なんて無いよ。

三編みのピンもどっかに行っちゃったし。ああもう！こうなったら裏切り者になってやりたい。

そうしたら、姉妹を見返せるのに。

「あ、三宅サン。偶然ですね」

「水琴、悠斗くん……？」

この人、名前しか覚えてないな。SSランクで次世代桜国の一員になるって人だっけ……。

「実は、北桜姉妹が貴方を探させるだけ探させて、貴方をゲーム終了時間ぎりぎりに裏切るつもりですよ」

はっと顔を上げる。
裏切り者……あってはならないシステムだ。

「本当？」
「僕が嘘を付くと思う？付いたって利益は無いのに」

確かに。でも、嘘を付いて惑わして、それを愉しむって人もいるだろうしなぁ。

「あの、どこで聞いたんですか？その話は」

「今丁度言ってますよ、ほら」

心が沈んでいく。自分は学院復帰を果たしたい。でも、裏切り者だけには関わりたくなかった。

「でも、一つだけ解決方法がある」

……君が先に裏切り者になる事。

───

『残り時間は二分です。まだどのチームにも裏切り者は発生しておりません』

羽海の声が学院中にこだまする。

モニターを見ていて、やはり水琴をジョーカーに選んで良かったわ、と思う。

彼、まだ神田チームにだけは裏切り者の話をしていないようね。どう言う事かしら？


ウィーン──ホールの自動ドアが開く。

「はい、何の御用でしょうか？」

「実は……」


やっと現れたわね、裏切り者が。

この時を待っていたわ、ふふっ。

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