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7話・月 ページ10

「…どいつだよ。」

俺の声は自分でも驚くほど低かった。
藍くんはオロオロし、あおは拳をぎゅっと握っていた。
マスターはその場でヘナヘナと座り込み、みどはは顔を手で覆って泣いていた。
斗羽が真朱をベッドまで運び、マスターを風呂へと連れ出す。

「ふざけんなっ!ぶっ飛ばしてやるっ!」

俺の声量を上回る、いつものあおからは考えられない声が部屋に響いた。
あおは力任せに扉を開き、綺麗な靴の踵を踏みつけ外へと飛び出して行った。

「わりぃ、あおのこと見てくるわ。」

そう言い残して、俺もあおを追って外に出た。

「絶対…許さねぇ…」

俺らは戸籍を持っていないらしい。
と、いうことは病院も利用ができない。
いつも、看病をしてくれている真朱が倒れたのだ。
焦るのも無理はない。

でも、今はだめだ。
なんで、こういう時だけ変に冷静なんだろうか。

あぁ、そうか。こんな所を1度見てるからか。

と、勝手に自分で完結し、あおを追う。
あいつは今、何も見えていない。
だから、きっと真朱の外出先に行くはずだ。
もう、犯人は去った後なのに。

走りながら考える。
なぜ、帰ってくるのが遅いと思った時から探しに行かなかったのか。
なぜ、真朱とマスター、女の子2人にさせてしまったのか。
後悔ばっかりが残る。最悪の事態が頭をよぎった。

「くそっ…!」

行き場のない怒りをどうすればいい。

「あ、いた。あおー!」

明るく、振舞う。いつも通りに。

「…月切か。」

俺達はただ、歩いた。
「なぁ、月切。」
「なに?」
「許さねぇよ。刺したやつのこと。」
「奇遇だね、俺もだよ。」

俺はもう、決めていた。

「同時進行で、犯人を殺す。」

まず、犯人像の確定。

「男だな。」
「あぁ、この手の類は男が多いからな。
詳しくはマスターに事情を聞いてからだ。」

だいぶ、あおも冷静になってきたようだ。

「そうだな。帰るか。めしだ、めし!」
「ごめん、冷静になれなくて。」
「お、珍しく素直じゃん。」

この後問答無用で殴られたのは言うまでもない。

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設定タグ:誤字脱字 , オリジナル , 合作   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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月見ノ(プロフ) - Gingerさん» わざわざありがとうこざいます、メンバーは6人になる予定です!これからもよろしくおねがいします! (2017年7月6日 22時) (レス) id: 27b064b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
Ginger - Incredibile!Divertente!(凄い!面白い!ってことです) (2017年7月6日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よっけおる x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年7月3日 21時

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