僕らは死神代行人！

8話・白 ページ11

...刺された？

刺された。

誰が？

マシュが。

誰に？

わからない。

何で刺された？

わからない。

手がかりは？

何もない。

今僕に出来ることは？

能力でマシュの記憶を変える事。

何に変える？

わからない。

自問自答を繰り返している内にマスターが重い口を開いた。

「刺したのって、男の人なのかな」

「ﾁｯ...ぶっ殺す。」

マスターが犯人の手がかりを無理やり掴もうとする。
今まで見たことないくらいマスターは焦っている。
当然僕だって焦っている。

「...マシュの記憶、何に変えればいいのかな」

「...何も思い付かない」

「だよね」

「...血、止まった？」

「今は止まってるよ。」

答えるマスターの声は微かに震えていた。

「トワは？」

「書斎で治癒方法について調べてくれてる」

「マスター、犯人の服装覚えてる？」

「フードつきのパーカーにジーンズだった。背丈的に多分...男性かな。」

「やっぱり男か。」

ｸﾞｳｳｩｩ...

不覚。この世から今すぐ消え去りたい。
そうだ、二人の記憶を変えてしまおう。
否、僕には不可能だ。2人同時に記憶を変えるような高い集中力は僕にはない。

何の音か。わかりたくもない音だ。
空腹音。大切な仲間が生死の狭間に居るのにも関わらず空気を読むことなく僕の腹は鳴いた。

「もしかして白藍？」

「...はい」

「大丈夫、出前はさっき月切の小人のシュウに頼んでおいたから、もうすぐ来ると思う。」

「...シュウ、か」

「あ"...」

...一層空気が悪くなってしまった保健室。
どう話を進めればいいのやら...

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