僕らは死神代行人！

16話・翠 ページ19

もう寝たほうがいいと勧められて、皆のいる部屋を後にした。
……なんか、妙に眠いし、心なし頭も痛い気がする。
まるで、もう眠れと言われているみたいだ。

自室の扉を開ける。壁一面に蔦やらなんやらが這っていて、灯りをつけても薄ら暗い。
窓際と机の上の子達も、いつもは元気なのに、今夜は少し頼りなさげに揺れている。
私の体調のせいかな。
午前中、午後もずっと屋上で日に当たっていたのに、どっと疲れている。
ベッドを覆っていた茨が人が一人通れるくらいの隙間を空けて、私を招きいれる。
ベッドに転がって、緑色の天井を見上げた。
あぁ、そうか。笹船飛ばしたのが良くなかったのかも。
自分から切り離してもなおそれを操るというのは予想以上に精神力と体力を使った。
でも、あれがなきゃ皆が戻ってくるのが遅くなって、危なかっただろう。
ただでさえ、私は戦闘能力が低いのだから。
藍くんの足を引っ張って、危険に晒す前に斗羽くんが戻ってきてくれてよかった。
真朱ちゃんも、無事でよかった。
皆、今日はゆっくり休めるといいんだけど…依頼の件もあるんだし。



眠ろうと思っていたのに、すごく眠いのに、なかなか寝付けない。
考え事ばっかしてるからだ。無心になろう、無心に。
まあ私は依頼関係ないし、少しくらい起きるのが遅くても大丈夫だろう。
棚の整理も、豆と葉の確認もまだしなくてよさそうだし。
掃除はお昼からでも大丈夫でしょ。多分。
とにかく、もう寝たいから心を無にしよう。
……そういえば誰かから寝たいときはなんたらって名前の人の怪談話を聞けばいいとかなんとか
って聞いたことがあるような気がする。誰から聞いたんだっけ。
まあいいか。どうでもいいや、眠いし。



目を閉じたら、視界いっぱいに緑色が広がっていた。
誰もいないそこに私は一人で立っていた。
何処かで、いつか見たことのあるような世界。
いつ見たんだっけ。
誰もいないのに、誰かに話し掛けられる。
君は、誰？

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