177.時迫る ページ4
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[五条side]
状況は急速に進展を見せた。
メッセージの解読は秒で。
休息は十分に。
諸々の根回しはそれこそ、光速で。
Aからの最後の手がかりをもとに。
赤で描かれた六芒星の照合はすぐに済んだ。
高専教師同士の情報交換が終わったら、
3か月分の調査資料にもう一度目を通す。
敵の情報はほとんど無に等しい。
あるのは仮定と、僅かな失敗の経験だけ。
3か月前、大胆にも高専を襲撃してきた日。
Aが失われ、しかし同時に。
居合わせた誰もが『精霊』という存在を理解した。
呪霊のようには見えない。
が、完全に気配が無い訳でもない。
それなら、いくらでも対策を立てられる。
存在を感知するのはそう難しくない。
あれらを無限に量産できるのだとしても
一個体の強さはたかが知れている。
攻守バランスの良いグループを組んで動けば、
不可視のハンデはかなり軽減されるだろう。
と、ここまでは、
イレギュラーが発生しない想定での話。
もし、相手の策が想定以上に巧妙で、
───もしくは他に切り札を持っていて。
軍勢のごとき精霊たちの群れではなく、
それ以外の全く違う手で攻めて来たなら。
そんな可能性を考えないことはない……のだが。
例外パターンに対して一つ一つ丁寧に
対策を立てるには、あまりにも時間が足りなかった。
時間はもうずっと、慢性的に足りていない。
もう一つの手がかり、
綴りかけの和歌から導かれた日付。
“旧暦2月15日”。
新暦換算で言う、3月21日。
決戦の日取りと思しきXデーは、
昨夜──再起の夜から数えて2日後。
猶予は1日。
それまでに、戦いに望むための準備を全て
整えなければいけなかった。
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作者名:Sn | 作成日時:2022年2月25日 23時