９．落下 ページ10
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「五条先生」
「んー？」
「Aのこと、
本気で呪術師にするつもりですか」
廃ビルの前で待機する二人。
呪いの気配が消えたのを確認し、
不意に恵が五条へと問いを投げる。
「……恵は反対？」
「当然ですよ、こんな危険な仕事。」
「なるほどね。ま、僕も同意見だけど」
「じゃあ、なんで」
「だってさ、Aだよ？ 諦めの悪いのなんの。
何年か見守ってきたけど、
その頑固さみたいのは変わんないんだよね」
何につけても彼女はそうだ。
絶対に諦めない。
ゴールまで届かないと気が済まない。
恵自身も、Aのそういう性質には
覚えがあった。
「…でもあいつ、戦えるんですか」
「戦える。今はまあ、あれだけど。
もしかしたら一年の中で一番強いかもだし？」
「は、」
「おーい、先生！」
「おっ。おかえり悠仁、野薔薇。
無事で何より」
なんてタイミングの悪い。
気だるげに顔を上げた恵は、
しばらくもしないうちに重大な点に気づく。
「…！？ おい虎杖、Aは！？」
「漆葉のこと？ それなら後ろに」
「…いないね」
「えっ、あれ？ 釘崎──は、いるか」
「いるわよ。
あの子だって、降りてくる時にはいたはずだけど」
と、その時。
パリーン、と何かが割れる音が響き渡る。
音の元は廃ビル最上階の窓ガラス。
その窓から、なんと。
話題の当人が降ってきた。
「──っ、鵺！」
咄嗟に影を形作る恵。
現れた式神は大きく飛翔し
落下する漆葉を拾い上げる。
時間差、破られた窓ガラスの破片が
やかましい音と共にコンクリートの地面を叩いた。
「あ、っぶねぇ……」
「伏黒ナイス！」
「無事なの？ その子」
野薔薇の発言と同時、
五条は着地した式神から漆葉を抱え上げた。
「目立つ怪我はしてないね。
気を失ってるだけ」
「なら良いけど」
「念の為、先に高専へ送っとくよ」
ちょっと待っててね〜と五条はその場を後にする。
それ見たことか、と言ってやりたくなるのを堪え、
恵は小さく息を吐き出した。
「……ていうか普通に流したけど
あいつ、サラッと姫抱きしてったわね」
「姫抱き？」
「こう、横に抱えるやつよ」
何気ない釘崎の言葉。
なぜか不意に恵の脳裏に浮かんだのは
一ヶ月前の五条のトンデモ発言。
“あえて言うなら婚約者かなぁ”
まさか、と思い直す。
「……婚約者って、マジなのか」
「え？」
「は？」
「……あ」
間違えた。
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (
レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです！続き期待してます！ (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sn | 作成日時：2021年7月24日 16時
