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7.予感 ページ8

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高専編入の話は
それからとんとん拍子に進んだ。


転居して二ヶ月足らずの部屋を引き払ったのは
つい昨日のことだ。

もともと多くない荷物を持って
再び高専にやってきた。

今日からはここが、私の家になる。




◇ ◆ ◇


「……じゃ、これで案内はおしまい。
 分からないことがあったら、僕か恵に聞いてよ」


やってきてすぐ、
待ち構えていた五条さんが施設案内をしてくれた。

なんと担任の先生でもあるらしい。


『それなら、さっそく質問いいですか』

「お、いいよ」

『ずばり、これから私がすべきことは?』

「心配ご無用。ちゃんと考えてあるよ。
 一応聞いておくけど、
 Aはそういうの見える?よね?」

『見るだけなら』

「十分。それなら明日からは
 基本の呪力制御と、体術の特訓だ」

『? 体術も、ですか?』

「そ、がっつり戦闘向けのやつ。
 体力は大事だよ〜? 呪術師には特にね」

『そういうものですか』

「うんうん。それに、ほら。
 Aは細いから弱そうに見えるし。ね?」

『ほっといてください』


それ立派なセクハラですよ、と
いつものように軽口を叩こうとして顔を上げる。



と、思いきり目が合った。ばちんと。



相変わらず目隠しはしてるので分からないけど
きっとそんな気がした。


不覚。

双方黙ったままのなんとも言えない空気のせいか
どうにも気まずくなって、でも目は逸らさなかった。

向こうが会話を再開してくれることを信じて。



信じて。




……。


…………。


………………。




『……』



何も話してくれなかった。


『な、なんですか。急に黙って』

「何って、Aが何か言おうとしてたから、
 待ってただけだよ?」

『いえ、私は何も』

「…へえ?」


戸惑う私を置いて
五条先生はやたらに上機嫌な雰囲気を醸した。


「全然通常運転っぽかったけど、杞憂だったね!」

『?』

「一応意識してくれてるんだ? 僕のこと。」

『……はい?』


はい??

意識。意識する、とは。
超特急で脳内検索をかける私なんてお構い無しに
先生はからりと笑って。


「何度でも言うけど、僕本気だから」

『え』


それだけ告げて先生はくるりと背を向けた。

僕この後用事あるからさ、と
背高の後ろ姿が遠ざかっていくのを見送る。



『……言うだけ言って』


わからないことだらけ。

でも、これからは毎日が波乱万丈になることは
容易に想像できた。



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです!続き期待してます! (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sn | 作成日時:2021年7月24日 16時

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