39.才能 ページ42
▽
「えっ、漆葉無事なの!? マジで!?」
「本当、ですか」
「冗談とか言ったら殺すわよ」
「いやだなぁ、ほんとだって。ちゃんと生きてるよ」
「そっ、か」
「よかったぁ〜……」
「…致命傷食らっても生きてるって
よほど腕の立つ術師に治してもらったんですか」
「あ、そうそう。それなんだけどさー」
なぜかわくわくしながら、五条が暴露したのは。
「A、反転術式を常用してたみたい!」
「…へ?」
反転術式。
負の力である呪力を正の力に変換する高等テク。
使用できる術師は少ないが、
呪力での傷の治癒なども行える便利技法。
それを、漆葉が。
「常用って…いつも使ってたってこと!?」
「そう! いやー面白い子だよね。
気づいた瞬間笑っちゃったよ」
「なんでアンタが気づかないんですか」
「そうよ、そういうの視るの得意でしょ?」
「だっていっつも反転させてんだよ?
そっちが順転だと思うじゃん」
「自然に使って反転するってありえるの…?」
「まさか! 少なくとも僕は見たことなかったね。
とんでもない才能だよ、ほんと」
僕だって苦労したのにさ、と
五条はからりと笑いながら言う。
「──で、肝心の本人はどこにいるんですか。
高専にはいませんよね」
「あー、うん。ここはちょっと怖いから。
信頼できるところに預けてあるんだよ」
「先生! それ、どこですか!」
「あはは、ドストレートに聞いてくるね〜。
別に教えてもいいけど、来ちゃダメだよ?」
「その辺りはさすがに弁えてるわよ。
早く教えなさい」
「わかったわかった。場所はAの家だよ」
「家?」
「そ。あの子の帰る場所」
「帰る場所……って」
「あ。この場合は、
僕の家って言った方がいいのかなぁ」
……沈黙。
それから、すぐ。
「はぁ!? アンタほんとに教師!?
囲えばいいってもんじゃないのよ!!」
「…正気ですか先生。
御三家の屋敷なんて地獄じゃ──」
「こらこら、早まらないの。
言ったでしょー? “信頼できるところ”って」
さらなる追求が叶う前に
タイミングよく五条のスマホが鳴る。
持ち主はそれを見やって、勢いよく立ち上がった。
「あ、ごめん。僕たった今用事できたから」
「え」
「今日は自習でいいよー。たぶん戻ってこないし」
平然と授業放棄を宣言する教師。
じゃあね〜と五割増の上機嫌で手を振って
振り返ることなく立ち去った。
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです!続き期待してます! (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sn | 作成日時:2021年7月24日 16時