37．過去 ページ40
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６年前。
とある任務で、さびれた住宅地に足を向けた。
任務は珍しいことに、祓除ではなく調査。
場所は小さな和の住宅。
その居間にて起きたという呪殺事件。
住んでいた一家はほぼ全滅。
遺体は一部が残っていたぶん、
呪いの仕業とすればマシな方だ。
よくある事例、と言っても差し支えなかった。
ただ一つ。
たった一人。
おびただしい血溜まりの真ん中に
ただ横たわっていただけの、ひどく痩せ細った少女。
それがAだった。
皮肉なもので、
そんな“奇跡的な”生き残りを喜ぶよりもまず
真っ先に疑われたのが彼女だった。
血に濡れた屋敷で倒れていたというのに
怪我どころか血痕らしきものも見当たらなかった、
ただ一人の生存者。
不可解と言うに余りある。
リスクを被りたくない上層部は
どうしてもこの子の存在が許せなかったらしい。
少女を殺せ、と
言い出すのも時間の問題だった＿＿＿＿＿
「──って訳で、僕がAを引き取ったの。
両親はとっくに亡くなってて
もう頼れる身寄りもいなかったみたいだし」
「そう、なんだ」
「はいそこ重くならないー。
…で、ここからは今の話ね」
今の話。
数日前の任務と、正体不明の白の少女。
それから、漆葉の行方。
先に昔の話をしたということは、
二つの間に何か繋がりがあるはず。
「あの白の少女──アレが６年前の事件の
犯人だったりしませんか」
「鋭いね〜。僕もそう考えてたところ」
「考えてた、って。確証はないんですか？」
「まあね。あの白い子の気質から考えれば
ほぼ間違いないと思うんだけど」
「漆葉守ってる感じの？」
「でもそれ、おかしいじゃない。
お世話になってる人たち殺して、漆葉を守る？
とんでもない考え方よ」
「いや、真っ当な発想だよ。
A、結構な虐待に遭ってたみたいだから」
「え」
副産物として明かされる漆葉の不遇さ。
そのたびに、空気は冷たく重くなる。
「ま、今は置いとこうね」
それすらもさらっと流していく教師がいなければ
話すらままならなかったかも、と思うくらいには。
▽
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (
レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです！続き期待してます！ (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sn | 作成日時：2021年7月24日 16時
