拾われた先は… (ページ1)

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｢あんたを産んだのが間違いだった！
二度とその顔を見せないで！｣

実の母親に褒められたことも必要とされた事も1度も無かった

産んでくれなんて頼んだ覚えもないのに、自分が子供が欲しいと思って産んだくせに

勝手に産んで勝手に捨てられた

土砂降りの雨の中行くあてもなくただただ歩く

｢お姉さん1人？｣

｢夜道は危ないから一緒においでよ｣

煌びやかなネオンの街と酒臭い男の人達から逃げるように、真っ暗な細道をひたすら走った

『はぁっ、はぁっ、』

壁にもたれ掛かるようにその場に座り込み、過呼吸気味な自分を必死で落ち着かせる

要らない子ならどうして産んだの

育てられないなら、こんな人生なら産まれてきたくなかった

行くあてなんてどこにもないし頼れる人もいない

少し疲れた

このまま目をつぶって一生目が覚めなければいいのに

そう考えていたら、いつのまにか眠ってしまっていた

『………ん、、』

｢あ、やっと起きた｣

『っ！？』

目が覚めれば横には知らない怪しい男の人

｢ビックリさせちゃったよねごめんね
なんでこんなとこで寝てるの？風邪ひいちゃうよ？｣

可愛らしい顔立ちで優しく話しかけてくる

『……えっと、その、すみません』

どうしていいか分からず、とりあえずこの場所から離れようと思い立ち上がろうとすれば掴まれる腕

｢謝らなくて大丈夫。びしょ濡れでうずくまってたから、何かあったのかなって｣

『いえ、大丈夫、です。すみません』

｢あ、また謝ったー｣

『あ、えっと、』

変な人

相手もきっとそう思ってるだろうけど、この人の方が変だ

｢捨てられちゃったの？｣

なんの遠慮もなくド直球に聞かれる

『……』

｢野良猫ちゃんなんだ
じゃあ、僕が君を拾ってあげる｣

『え、？』

｢んふふっ大丈夫。大切に大切に育ててあげるよ｣

そう言い、私の腕を優しく引いてくれる

人の手ってこんなに温かいんだ

初めて人の温かさに触れた瞬間だった