抱きしめて*青×橙* ページ4
「なぁ。しょうちゃん、知ってる？」
「ん？何を？」
「ハグしたら、ストレスが30％なくなるんやって。」
「あー、なんかどっかで聞いたことあるかも。」
「ほんまなんかなぁ……。」
まるが小さく呟いた言葉も2人きりの楽屋でははっきりと俺の元へ届いた。
頭の中にピコンとクエスチョンマークが浮かぶ。
こんな類の話題は好きで結構信じるタイプのまるが疑うやなんて。珍し。
いや、珍しいだけじゃないか？
手元のスマホから目線を上げて、前のソファーに座って雑誌をめくるまるを見て納得した。
思わずクスッと笑って「よっこらせ」なんてジジくさい言葉を吐きながらソファーを立ち上がる。
まるは雑誌を見たまま。
隣に座ったところでやっと顔を上げた。
「ん。」
「ん？」
両手を広げて見せるとまるは首を傾げた。
「ん。」
「どうしたん？」
「ストレス、30％なくなるか、やってみる？」
まるは一瞬固まった後、すぐに泣きそうな顔になった。
雑誌をテーブルに置いて俺の肩に顔を埋める。
まるの少し高い体温が心地いい。
「なんで、わかったん…………。」
震えて泣きそうな声。
「わかるわ。」
一人がいいけど独りは嫌なまる。
最近は個人の仕事が多かったから心配はしてた。
こんな誘い方でしか甘えられへんって、ほんま不器用やな。
まるも。俺も。
「似たもの同士やからな。」
「……ふっ、たしかに。」
だんだんゆっくりになっていく口調が面白い。
「もういい？」
「まだ。」
即答ですか。
いいよ。まるの思うままに。
俺ももうちょい、この体温を味わっていたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やきいも | 作成日時：2020年9月7日 20時
