いつか会えたら シトロン ページ7
14歳の頃、近所に日本人家族が引っ越してきた。
「吉川です。よろしくお願いします。」
夫婦の後ろに隠れる同じ年くらいの少女。
それがアナタだった。
アナタはいつもつまらなさそうな表情をしていて
私はなんだか、どことなく影のあるアナタが気になっていた。
「Aちゃん、学校ダヨ。
一緒に行こう。」
「行きたくない…
みんな私を、外国人扱いする。」
クラスメイトはみな、アナタを好奇の目で見ていたように思う。
異国の地から来た少女に、男子は憧れ、女子は煙たがった。
「私が守るヨ!
一緒に青春するネ。」
「…なら行く。」
アナタの手を引いて通った中学校は、卒業して3年後に取り壊されてしまった。
「なくなるなんて、寂しいな。」
18歳になったアナタは、そう言った。
「シトロン、あのね。」
綺麗な海を眺めながら、アナタは卒業したら日本に
戻る事を教えてくれた。
「私も、一緒に行くヨ。」
「ダメだよ。シトロンの人生でしょ。」
夕日に照らされたアナタの横顔は綺麗で、いつの間にか少女から、大人の女性へと変わろうとしている。
別れの日。
「日本語勉強して、会いに行くネ。」
「うん。待ってる。」
私は、アナタに自分の気持ちを伝える事が出来なかった。
あの別れから4年。
私は国を旅立ち、アナタのいる日本に来た。
日本と言っても広い。
この街にアナタがいるとは限らない。
でも、私は未だにアナタの姿を探している。
いつか会えたら、空白の時間を話そう。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年3月10日 11時