別れの季節に (ページ4)

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さよなら恋心2 碓氷真澄ページ4

「風の噂で、真澄が劇団に入ったって聞いたから
舞台の千秋楽見に行ったんだ。
そしたら、真澄がキラキラしてて…私にはあんな
表情、見せてくれなかったよね。」

何も言わず、黙って聞いてくれる真澄。
付き合った頃に戻ったみたい。

「見せてくれなかった、は違う。
私が、もっと…真澄の好きな人みたいになれたら
結果はきっと違ったんだと思う。」

中学２年で同じクラスになり、猛アタックの末に
付き合えた15歳の春からもう２年が過ぎた。

「好きな人って、劇団の監督さんだよね。
公演のあと、真澄を見つけたんだけど、あの人の事
愛おしそうに見てたの分かったよ。」

「なんで分かった」

ああ、認めちゃうんだ。分かり切ってた事だけど。

「私、中学からずっとずっと真澄が好きだったんだもん。分かるよ。
2年間も付き合わせてごめんね。」

時折見せる笑顔が好きだった、さりげない優しさも
私を呼ぶ声も全部全部、私のものになればいいって
思ってた。

「真澄はさ、私の事少しだけでも好きとか、大切だって思ってくれた？」

「当たり前。じゃなきゃ、付き合わない。」

「真澄。」

私は、しっかりと彼の目を見る。

「別れた事、絶対後悔するからね。
こんないい女、いないよ！！
2度と好きになってやるか、ばーか」

「…安心しろ。
後悔しても、お前に迷惑はかけない。」

「あっそ。
…もういいから、行きな。
今日はありがとう。」

もう話しかけないから。
寂しくなんかない。

「好きだった。
…じゃあな。」

大好きだった背中が遠ざかって行く。

やっとこれで、彼を好きだった自分にさよなら
できる。