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感情 雪白東 ページ30

「東さんって本当に綺麗だよね…」
添い寝屋時代、会う度に僕の肌に触れるお客さんが
いた。

「ふふ…Aちゃんは可愛いね。」
「またそう言うんだから!」

彼女は僕よりも少し年下の女性で、仕事は派遣のOLらしい。

「お給料も安いし、生活も厳しいけど東さんと
会うのに頑張る!」

「身体には気をつけて。
また来月、ね。」
他のお客さんとは違って、添い寝以外のサービスを
要求してきたり、プライベートに干渉してこない
Aちゃんは接しやすかったと思う。
最初は、そのくらいにしか感じなかった。

「派遣切られるかもしれない、どうしよう。」
「そうなったら、一緒に暮らそうか。」
でも、会う回数が増えていくにつれて
そんな事を口走ってしまうくらいには、彼女に好意を持っている自分がいた。

「お金ないなら、添い寝屋なんて来るなって話なんだけど、やっぱり癒しが欲しいの〜
ダメダメなOLだあ!」

「うんうん。
僕が癒してあげる。」
隣でスヤスヤ眠る彼女を見ていたら、つい触れてしまいそうになった。

もういい大人なのにね。
そっと溜息をつく。

「東さん、聞いてー
私ね、今婚活してるんだけど失敗続きなんだ。
親からもチクチク言われるし辛いな。」

「この年齢になると、結婚ラッシュもあるし
大変だよね。」

「そうなの!
んー話聞いてくれたら眠たくなったよー。」
他の人にもこんな可愛い寝顔を見せてるのかな。
僕はこの子の彼氏じゃないのに気になってしまう。

「実はね、お店やめるんだ。」
昼寝から目を覚ました彼女に、言った。

「もう会えないの?」
「安心して。かわりにフレッシュな若手を
用意するから。」
お店をやめる事を報告したのは、彼女にだけだ。

「やだ。東さんじゃなきゃ、やだ!」
子供のように駄々をこねる彼女の肩に軽く触れる。

「それって、僕がいい添い寝屋だから?
男として好きとかじゃないんだよね。
僕は、Aちゃんが好きだけど。」

「ごめんなさい…」
泣きそうな顔で、僕にお金を渡すと彼女は帰ってしまった。
なんで、あんな事を口走ってしまったんだろう。
もういい大人なのに。

添い寝屋と客の関係じゃなければ、上手く行ったのか。
僕の思いは、春風と共に消えていった。

存在 有栖川誉→←夢の中 御影密



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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年3月10日 11時

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