別れの季節に (ページ15)

今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:6,177 hit

苦味向坂椋ページ15

漫画の新作、今日出てる！
早く読みたいな。

僕は軽やかな足取りで、近所の書店に向かう。
幼馴染の高校生の純愛ストーリー。
大好きな漫画だ。

「いらっしゃいませ。」
お店に入ると、初めて見る若い店員さんがいた。
花咲学園の制服を着た彼女は漫画のヒロインみたいで、見とれてしまう。

「これ、お願いします。」
欲しい漫画を手に取り、レジに並ぶ。

「…loversだ。
好きなの？」

「変ですよねー」
ヒロインみたいな彼女に話しかけられて、戸惑ってしまう。

「私も好き。
その制服、聖フロだよね？」

「は、はい！向坂椋って言います。」

「椋くんね。
私、吉川A。
今日からアルバイトしてるの。
短期で2カ月だけなんだけどよろしくね。」

清楚な雰囲気も、漫画のヒロインみたいだ。
お小遣い厳しいけど、週に2回くらいは彼女に会いに行きたいな。

「ねえ、カズくん。
本屋さんに用事あったりしない？」

「なになに、可愛い店員さんでもいたの？
そういう事なら付いてくよーん！」

次の日も、同室のカズくんとあの本屋さんに向かった。

「あれ？また会ったねえ！」
「こんにちは！」
「リアルJKじゃん。」

安いシャーペンと消しゴムを買う。

「お勉強頑張ってね。
ありがとうございました～」

吉川さん、何年生なんだろう。卒業したらどうするのかな。他には何が好きなんだろう。

色々な事が気になってしまう。
もしかして…僕、一目惚れ？