クラスメイト 瑠璃川幸 ページ13
服を作る事が昔から好きだった。
だから、学校の家庭科なんて遊び程度。
それなのに…
どうして、隣の席のコイツはこんなに苦労してる訳?
「あんた…吉川だっけ。
縫い方雑すぎ。見ててイライラする。」
「仕方ないじゃん!
苦手なものは苦手なの!」
卒業制作と称してぬいぐるみを作る課題が出ていた。
「先生にぬいぐるみ作れって言われたよね。
謎の球体出来てんだけど、大丈夫?」
「パンダのつもりなんだけど!?」
吉川はソフトボール部のエースで、女子に人気のいわゆるイケメン女子。
「手伝うからやるよ。
…まさか女子にキャアキャア言われてるイケメンエースが裁縫出来ないとは。」
「瑠璃川、優しいじゃん!」
白い歯を見せて爽やかに笑う。
笑うと可愛いなと思う。
「ま、まず針に糸が通せないんだよ。」
「貸して!」
彼女は本当に不器用だった。
「頑張るよ!」
「さすがエース。」
いつもはヘラヘラ笑ってるくせに、真剣な表情で作業を進めるからギャップに驚く。
「卒業したらさ、寮生活なの。
瑠璃川からしたら、ただのポンコツだけど
ソフトボールで推薦もらって大阪行くんだ。」
「じゃあ身の回りのことやらなきゃいけないんだ?
卒業まで1カ月。俺が鍛えてあげる。」
「よろしくお願いします!コーチ!」
「コーチじゃないし。
根っからのスポーツ脳疲れる。
ポンコツエース。」
卒業まで1カ月、放課後の家庭科室には俺と彼女だけがいた。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年3月10日 11時