卒業2 佐久間咲也 ページ2
卒業式は泣かなかった。
私は、3年間過ごした40人のクラスメイトよりも
たった1人の佐久間くんと別れる事が悲しい。
「ごめん。後で合流するから先に行ってくれる?」
友人にそう伝えて、私は教室に残る。
「卒業式、間に合って良かったね。」
目を真っ赤にした彼が、私の斜め前の席に座る。
「帰ったんじゃなかったの?」
「Aさんに、会いたくて。」
そうやって、無邪気に笑うから、期待しちゃうし
諦められなくなる。
「卒業しても、劇団にいるから見にきてよ。
Aさんって、本当に舞台とか見るの好きなんだね。いつも律儀に感想くれるし、有り難いよ。」
「春からも会えるよね?」
何の疑いもない目。彼の純粋なところに惚れたんだよな、と思い出す。
「ねえ、佐久間くん目当てで舞台見に行ってたって
言ったらどうする?」
「お、俺目当て??」
分かりやすく、あたふたと動揺する。
「本当はずっと佐久間くんの事が好きだったの。
これから、色々あるけどあなたが好きだって人が
いたの忘れないで。」
私は数センチ高い彼の肩を引き寄せ、頰にキスを
落とした。
「…元気でね。」
私、あなたの青春の1ページに残れましたか?
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年3月10日 11時