再来 ページ17
紅葉side
片付け後、
大人しく手入れ部屋に戻ってきた私だが
別にこれといってやることもない。
霊力切れを起こしたせいか
若干だるいだけで寝れそうでもない
ただ、
居るのだが。
何か、と問われればそれは何でもないが。
紅葉「ーーで、次は何ですか。
ーーー父様
紅葉は正直今回の一件で
私、てっきり折れたかと」
月彦「あれは僕も冷や汗をかいたよ。
命を大切にしてほしいものだね。
ただ、“始まり”に過ぎないのは
お前がよく知っている筈だ」
これが始まりなら、
最後まで残っていられるのかどうか不安になる
月彦「紅葉、散歩しよう。
誰もいないところで、話すことがある」
誰もいないところか。
紅葉「なら、とっておきのところがあります」
ーーー
滝の音が聞こえる。
湿気った空気を纏う場所。
ここがとっておきの場所だ。
ここを知っているのはたった数人、
時間帯的にも、誰も来ない
月彦「ほう。
こんな所が」
紅葉「水霊ならともかく、
他は此処には来ません。
ここなら、存分に話せるでしょう」
父に向けて振り向き
石に腰掛ける
月彦「ーーそうだね。
では、話すとしよう。
前回話した時、
僕はお前の残り香の濃さに驚いていた。
ただ、何で今回はさらに濃くなっている？」
紅葉「すこーし、“もらいました”あの子から。
多少ばかし増えたところで、
何にもなりませんし、
六木兄様のように堕ちることもないでしょう」
月彦「ちがう、そうじゃない！」
父様に肩を掴まれ
頭を揺らされる。
一応こちらはけが人なのだが。
月彦「ぼくが言いたいのは！
何で貰う必要があったのかだ！
今のお前は、顕現してから寝ていない期間
すべての疲労が溜まっている状態だ！
それなのに、何でこんな辛い事をするんだ！」
だからなのか。
鬼化をしても、あまり霊力が回復しないのは。
全部疲労に持って行かれたからか。
だけど、こうしていないといけない。
紅葉「ご存知ですか、父様。
瘴気で発動することの出来る術がある事。
正直に言っておけば、
“何で瘴気を吸い上げたのか、
自分でもわかりません”
もしかしたら“呪い”かもしれない。
憑代にされているかもしれない」
月彦「親として、お前に言う！
何で、こんなにお前は」
ーー傷つく事が、優位になるから。
こんな事意地でも言えない。
紅葉「しばらく、私の前に現れないでください
父様」
父様に背を向け本丸に歩いた。
ーーさぁ、幕が上がる時間だ。
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作者名：クラウン | 作成日時：2018年9月15日 22時
