首輪 ページ8
響音side
小さい時から
事あるごとに国の役人が家に来ていた
理由は簡単だった
俺達が普通じゃないから
“桜木”の血筋だから
まるで犯罪者みたいに
厳重にだ
監視の理由がわかったのは
小学四年の時
先祖代々混じりの中でも強力な力を持つからだと
父から言われた
しかも俺はその中でも異質であったと
生まれつき良い耳のことを言われた
兄は色々と達観していたから
そんなにショックを受けなかったらしいが
俺からしたらショックどころの騒ぎじゃない
周りの親から白い目で見られていたのが
そもそも家のせいだからなんて
受け入れたくなかった
俺達みたいな分家、つまり混じりの血が薄い部類に入っている家は
暴走した際に
国からの命令で殺されるのだと云う
つまりは
そういう事だ
国の利益にならないなら死ぬ
ならばと思って
アイドル育成学校の夢ノ咲に入ったのだ
まぁそこで親戚に遭遇するとは思わなかったが
響音「俺達が首輪って呼んでるのは
理不尽な事だけだ
『国の利益にならなきゃ死ぬ』って言うね
だから国の利益になろうとした
アイドルになって有名になったら
殺される確率は下がるだろ？
この声を利用したかったんだ
この声はアイドル向きだから」
俺達に人権なんてない
それが当たり前みたいになっていて
それが嫌だから
ファンにも打ち明けてなくて
ここにいる面子以外に混じりであることを伏せていて
司「佐倉のお兄様・・・」
響音「なんか、お通夜ムードになった
ごめん」
ーー優鶴sideーー
聖夜「ラースト！」
ゴシャッ、という鈍い音が響くと
顔をハンカチで拭う
返り血で赤く染まった服は
もともと黒だったから良かったものの
白だったら確実に色が変わってしまっていただろう
優鶴「陸、花さん怪我は？」
花「ありませんよ安心してください
陸も同じく
あと、その他人行儀を改めなさい
昔は『はーちゃん』呼びだったでしょう」
優鶴「立場ってもんがあるんですよ」
昔の話を聞くと耳が痛くなる
昔と今じゃ違いすぎる
聖夜「じゃぁ俺達教室に戻るね！」
花「あっ、待って下さいな。
聞きたかったのですけど
“エレメンタリボイス”のコントロール
出来るようになったのですか」
聖夜「うん！バッチリ！
エレメンタリボイスじゃなくて
プリズムボイスの方が一般的だよ♪」
優鶴「聖夜と響音は時々自爆するけどな」
聖夜「ゔっっ」
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作者名：クラウン | 作成日時：2019年7月25日 0時
