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「お前、まだ残ってたの」
「んぅ…またそうやって…」
気持ちよく寝ていたのに頬にあたる人差し指があまりに強くて目が覚めた。
ぼやける視界に見えたのは飽きるほど見てきた幼なじみのジョングクだった。
「もうこんな時間…寝るつもりなかったのに」
「聞き飽きたって、その言葉」
“ 睡眠おばけか ” と余計なひとことを呟いて先に教室を出ていった。
目を瞑ればどこでも寝れる体質のわたし。
ジョングクの言うことはあながち間違いではないけども。
「…もう少しいい起こし方ってもんがあるでしょ」
ほっぺつんつんならまだしも、ただ人差し指を頬にぎゅっと押しつけるなんて本当にありえない話だ。
別に幼なじみごときにキュンキュンさせてほしいな、なんてそんなこと思ってるわけでもないんだけど。
「…なんでいるの」
「帰り道同じなんだからいいじゃん」
“ ひとりで帰るのもなんか嫌だし ” なんて隣を歩く彼はいつも通りわたしに道路側を歩かせる。
普通は逆でしょ、なんて特に気にしてなさそうな彼に少しの意地悪で足を踏みつけてやった。
「なに」
「見てたでしょ。足踏んだの」
「それは分かってる。理由聞いてんの」
「…ほんと可愛くない」
“ そのまま返してやる ” って、喧嘩売ってるのかな。
わたしの理想の幼なじみはどこに行ってしまったのやら…もっとこうやさしくて、紳士的で、笑うだけで癒しみたいな…
「ジミンくんだったらよかったのに…」
「ジミンがどうしたの」
「…そろそろアオハルきてもよくない？」
「急に話変わるじゃん」
「切実に彼氏ほしい」
「…好きな人は？」
「いるわけないじゃん」
突然の無言。
わたし、なにか変なこと言った？
「そっちはど…」
「俺で試してみる？」
「…え？」
“ 恋がどんなものか ”
ぴたっと足が止まった。それに気づいたのかジョングクも立ち止まり、確認するかのように振り向いた。
こんなときなんて答えたらいいの…？
“ なーに言ってんの、ばか？ ” って笑い飛ばす？
それとも、聞かなかったフリ？
ううん、そんなの今さら遅いに決まってる。
「いいよ、俺は」
「だから、お前次第」
「わたしは…」
・
続く
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作者名：彗花 | 作成日時：2020年11月29日 1時
