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「………本気で言ってますか」
雨はだんだんと弱まっていっている。
びしょびしょになった
髪も、服も、鞄も、
どうでもよくなっていた。
小「……本気っすよ。最初は、一目惚れでした。」
一目惚れ、か……。
小「確かに、最初は外見でしたけどAとだんだんと喋っていくうちに、どんどん引き込まれていったんです。……って何言ってるんやろ俺…」
一人でペラペラと喋っている小瀧さん。
小瀧さんは一人で照れながら視線を伏せている。
「…………ありがとうございます」
とりあえず喋ろう、沈黙を破ったのは私。
小瀧さんはとっても素敵な人や。
優しくて面白くて、紅茶のいれかたが上手くてケーキは美味しくて。
でも、私には
ともという存在がいる。
「あの、私は」
顔を上げて思い切って言おうとすると、
小「俺じゃ、俺じゃダメなんですか」
小瀧さんの顔は、
切なくて悲しくて。
その顔に言葉が詰まる。
「………大阪にいる私の大切な人は、笑顔がすごく素敵なんです。」
小瀧さんは顔をゆっくり上げて私を見る。
「優しい声と、その笑顔が大好きなんです。」
小瀧さんはふっ、と微笑んで、
小「俺じゃ勝てっこないってことですね」
「小瀧さんは!」
自分でも驚くぐらい大きな声がでた。
小瀧さんも目を見開く。
「ど、努力家で、面白くて優しくて。い、イケメンで?」
小「ふはっ」
「ちょっと!笑わないでくださいよ!」
自分で耳まで赤くなっていることが分かった。
小「イケメンで?」
ニヤニヤとこっちを見てくる小瀧さん。
「い、イケメンで、小瀧さんにたくさん勇気を貰ったんです。」
小「……え、」
「小瀧さんみたいにたくさん挑戦してたくさん笑って、たくさん泣いて。そんな人になりたいなって思ったんです。」
もう真っ暗な空。
雨は止んでいた。
「だけどやっぱり、小瀧さんのこと、好きにはなれないんです。」
小「………そっか、そっかぁ〜!」
いつもの調子で笑う小瀧さん。
小「そっかぁ……、あ、そろそろ帰った方がいいんじゃないですか?もう暗くなってきてますし。」
「あ、そっか…。また、来ますね。」
そう言って小瀧さんに背を向ける。
カフェの前に佇む、涙をうかべる小瀧さんに、
今日のさよならを告げた。
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侑桜(プロフ) - いえいえ!新作&続編、楽しみにしてます!頑張ってください(*^^*) (2018年1月19日 18時) (レス) id: 8f97152f8a (このIDを非表示/違反報告)
杏菜(プロフ) - 侑桜さん» ありがとうございます、!!続編も考えておりますが、時間がかかると思いますし、新作との掛け持ちになるんではないかな、と思いますので、気長にお待ちください!読んでいただいてありがとうございました! (2018年1月19日 7時) (レス) id: d8f9f2cf95 (このIDを非表示/違反報告)
侑桜(プロフ) - すっごく面白かったです!!ともくん可愛いすぎて(*´`)続編も作ってくださると嬉しいです! (2018年1月18日 18時) (レス) id: 8f97152f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏菜 | 作成日時:2017年12月29日 17時