63話 お別れ ページ27
「あ、これ美味しい!これ作ったの絶対Aちゃんでしょ!正解?」
机の上にたくさんのっかっている御菜を箸でつまんだまま徹さんの質問に答える。
「はい!僕が作りました!あ、でも徹さんのお母さんに味付けは教えてもらいました!」
「え!そうなの?でもお母さんが作ったのより美味しいよ!」
「おい徹、お袋の味が一番だろうが」
「えー?」
そんな二人の会話につい笑みがこぼれた。
徹さんたちはとても仲良しな家族だ。
すごく羨ましい。
よし。
「…あの!話したいことがあります。」
僕の作った御菜をたくさん褒めている徹さんに徹さんのお母さんが無理やり御菜を口の中に入れている光景を前に
真面目な顔で話をきりだした。
「ん?どうしたの?」
若干緊張気味の僕の雰囲気に徹さんたちも真剣な顔をして聞いてくれた。
「僕、家に帰ろうと思います。」
徹さんと徹さんのお母さんの目をしっかり見つめて言う。
すると徹さんは少し困ったような悲しそうな顔をした。
「…なんで?もうちょっといなよ」
でも、僕はその返答にフルフルと頭を横に振る。
「これ以上お世話になるわけにはいかないですし。それに、徹さんたちのおかげで元気になりました。」
そう言うと「でも」と何かを言いかける徹さんを無視して徹さんのお母さんが口を開く。
「そっか、Aは頑張り屋だもんね。私もこの1週間楽しかったよ。徹と2人で暮らしてるも同然の生活だからさ、もう一人息子が増えたみたいで」
徹さんとそっくりな笑顔でも徹さんのお母さんは僕に笑いかけた。
「無理だけはしないでね」
そうして頭を撫でられた。
徹さんも納得のいかないような顔をしながらも渋々と頷いてくれた。
「いつでも俺ん家来ていいから。」
「はいっ」
涙が出そうになるのを堪えて返事をする。するとまた頭を撫でられた。
それからはあっという間だった。
最初っから私物はそんなに多くなかったので、家に帰るための支度はすぐに終わってしまった。
そして、徹さんの家にお世話になって1週間と3日。
「ありがとうございましたっ!」
大きな声でお礼を言う。
「元気だね。よかったよかった!一応徹に家まで送らせるから…あ、そうだ。」
何時ものように笑顔でそう言う徹さんのお母さんが僕に近づいてくる。
そして
「!」
暖かい温もりに包まれた。
理由は簡単。抱きしめられてるから。
「またいでもおいで〜。待ってるから」
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向日葵(プロフ) - 青猫さん» ほんとですかっ!?ほんわかしましたか!?本編がシリアスまみれになってしまったので番外編はほんわかできるように頑張りました!!あと2個ほどあるので!!ほんとにありがとうございます!! (2016年2月27日 20時) (レス) id: b3c2921f0f (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 向日葵、(元陽鞠、)さん» うわぁっ今泣きそうになりましたっ!!好きだなんてほんとにありがとうございます!!! (2016年2月27日 20時) (レス) id: b3c2921f0f (このIDを非表示/違反報告)
青猫(プロフ) - 初めまして青猫といいます!本編完結おめでとうございます!少し悲しい気もしますが番外編があって嬉しいです!ポッキーが好きな理由、ほのぼのしてて読み終わったとき、ほっこりしました(笑)これからも頑張ってください! (2016年2月27日 17時) (レス) id: 9acd278c8c (このIDを非表示/違反報告)
向日葵、(元陽鞠、)(プロフ) - あ、はいw続編にいく時は忙しくてコメント出来ませんでした(><)向日葵さんの作品は本当に好きなんですよ……!これからも応援してます! (2016年2月27日 1時) (レス) id: 2aaa62a4a5 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 向日葵、(元陽鞠、)さん» 続けてすいません!!この作品に一番最初にコメントしてくださった方ですよね?ほんとうにありがとうございます!!嬉しい限りです!!! (2016年2月27日 1時) (レス) id: b3c2921f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:向日葵 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maidens/
作成日時:2015年10月30日 20時